長期インターンを就活で活かす上で、意識するべきことは?

長期インターンとして仕事をされている学生の中には、その経験を就活でアピールしたいと考えている学生も多いと思います。社会人の方と机を並べて働く経験は、即戦力への一歩となるでしょうし、企業から評価してもらえることも多いでしょう。
とはいえ、実際の就活の面接の場では「長期インターンをした」という事実そのものだけでは不十分で、実際に何を考え、どんなことをやったのか、が問われることになるかと思います。

では、企業は就活生に何を求めているのでしょうか?
これは、会社によって異なるとは思いますが、ここでは一つの指標として、経産省が定義した「社会人基礎力」なるものを紹介します。「社会人基礎力」とは、組織や地域社会の中で多様な人々と共に仕事を行なっていく力のことで、

・前に踏み出す力
・考え抜く力
・チームで働く力

の大きく3種類に分類されています。長期インターンとして実際に社会人とともに働く機会を得ている皆さんは、上記3つの力が必要とされていることを働く中でも意識すれば、就活でも評価されるような活躍ができるのではないでしょうか。

例えば、営業の仕事のインターンをしていたとして、おそらく、闇雲に何も考えずに営業していても、高い成果は出せないことかと思います。その場合、例えば自分の営業の仕方を分析して改善点がないか探してみたり(考え抜く)、上司に相談してアドバイスを伺ったり(前に踏み出す)することによって、自分の営業方法を改善し、それによって成績を上げた、といった方法をとるかもしれません。こういったエピソードなら、上記の「社会人基礎力」を、面接の中でアピールすることができるのではないでしょうか。


就活生はどうアピールしたのか?


では、実際に就活を経験した人は、一体どのようなアピールをしたのでしょうか?今回は、大学3年時から長期インターンを始め、現在就活中ですでにIT系の会社2社から内定をもらったTさんに聞いてみました。

---Tさんは、大学3年の5月からインターンをされていたとのことですが、長期インターンに応募しようとした理由は?

Tさん:もともとはラーメン屋でアルバイトをしていたんですけど、このまま就活迎えても他の学生と同じようなことしか言えないなあと感じて、他の学生と差別化するにはどうしようかなと考えた結果、長期インターンとして会社の中で働こうと思いました。あとは、実際に社会人と働くことで、仕事のスタイルというか、実際に働くイメージをつけたかった、ということもあります。

---なるほど、「他の学生と差別化」したいという狙いがあったのですね。それでは、実際インターンとして働く上ではどんなことを心がけていました?

Tさん:自分で考えて、1つ1つの行動を、自分なりに根拠を持って行うことを心がけていました。インターンは基本的に指示された仕事をやる、という役割なのですが、幸い指示が曖昧というか、「〇〇を調べといて」等の指示でも、どう調べるか、など手段については任せてもらえたので、どう調べたら効率的か?どうまとめるのが良いのか?等々、自分で考えながら業務に取り組んでいました。

---どんな自己アピールをしたんですか?

Tさん:就活で話したのは、主にワークショップの企画・運営の話ですね。勤め先の企業と、そのクライアント企業とで共同のワークショップを開くことになったんです。その企業が地元の住民、特に子供にもっと親しんでもらうという趣旨のものです。
そのワークショップの中に、「企業のマスコットキャラを子どもに工作してもらう」という企画があったのですが、クライアント企業の方が、材料費が高すぎるという理由で難色を示し始めました。そういった状況下で、私は安い材料で代替できる部分がないかを調べ上げ、他の安い材料で代替できるものはそうして、また代替できないものにしても、仕入先の企業と価格交渉を行うなどしたことで、コストを納得していただける水準に下げることができ、イベントも無事に成功させることができました。少し省略した部分もありますが、だいたい、こういった話をしました。

---なるほど、そのエピソードでは、具体的に自分のどんな能力を伝えようとしたのですか?

Tさん:ざっくりいうと、「合目的的に行動できる」ということですかね。上記のエピソードの例でも、例えばイベントの参加人数を減らすとか、工作のパートを簡略化するとか、他にも策はあるとは思うんです。ただ、その中で、「地域住民・子どもに親しんでもらう」という本来の目的から考えると、人数を減らしたり、子どもが楽しめる工作の企画を省略したりするのは違うだろうなと。そうではなくて、なんとかしてコストを減らすことで解決しようとしたこと、そして実際にそれを実行したことから、合目的的に考え、行動できることを伝えられればなと考えていました。

---実際、企業からの評価はどうでした?

Tさん:面接官全員からフィードバックを受けたわけではないので、それぞれの面接官がどう思われたかはわからないのですが、内定先の企業から、選考後に教えてもらったのは、「困難の中の行動力」、つまりコスト面で難色を示されるという状況の中、自ら考え、行動して解決したという部分を評価してもらえました。

---なるほど、困難に直面した時も、自分で考えて、その状況を打開したという、その部分を評価していただけたのですね。納得しました。今日はわざわざありがとうございました。



インターン先にそのまま就職するという選択肢はどうか?

ここまで、就活において、長期インターンの経験を活かすならどうすべきか?といった話をしてきました。しかし、長期インターンとして企業の中で働かせてもらい、その中で結果を出せた人であれば、その企業にそのまま就職してしまうという選択肢もあるかと思います。
この選択肢について、個人的には「インターン先に就職するのはアリだが、就活はすべき」だと思っています。やはり新卒の就活は1度きりの選択なので、なるべく多くの選択肢を検討した上で、納得して決めて欲しいと思います。また、長期インターンを募集する会社は、そのうちの多くが規模のそれほど大きくないスタートアップもしくはベンチャー企業だと思うのですが、ベンチャー企業がフィットする人は、おそらく一つの企業で長く勤め続けるというよりは、ある程度転職等を考えたキャリア設計をしている人が多いと思います。そういったことを踏まえても、将来の可能性を広げたり、キャリア設計を考えたりする意味で、就活を行うことは有意義な経験になるはずです。
なので、新卒でインターン先に就職する、という選択は大いにアリだと思う一方で、多くの企業の説明を聞いたり、インターンなどの形で体験したりできる就活自体はしっかりとやった方がいいと思っています。その上で、インターン先も候補の1つにしながら、自分に最も合うと感じた会社を選べば、納得いく就職になるのではないでしょうか。