就活が本格化してくると、気になりがちなのが「学歴フィルター」です。
「高学歴の人のほうが企業説明会の予約がとりやすい」「エントリーシート(ES)は低学歴だと通りにくい…」等々を耳にしたことがないでしょうか。
そのような噂が絶えない「学歴フィルター」。ここからは、そんな気になりがちな学歴フィルターの実態に迫ってみました。

就活に学歴フィルターはあるのか?

結論からいうと学歴フィルターは「ある」といえます。

2017年版「有名企業400社の実就職率」ランキングによりますと1位は一橋大学、2位は東京工業大学でした。内訳は、一橋大学は三菱東京UFJ銀行23人、みずほフィナンシャルグループ25人、三井住友銀行16人と、3大メガバンクがベスト3を占める結果に。
東京工業大学は、就職者数上位企業が三菱電機29人、トヨタ自動車と日立製作所が23人、パナソニック21人との結果に。
3位慶應、4位上智と有名大学の学生が大企業に就職している現状が浮き彫りになりました。

また、HR総研では2017年3月に企業向けにターゲット大学(学歴フィルター)はあるのかどうかの調査を行いました。結果は、学歴フィルターを設定しているのは全体の39%の企業との回答を得たそうです。

これらのデータから言えることは、学歴フィルターは存在する、そして学歴フィルターがある企業の選考においては有名大学の学生は就活に有利ともいえるでしょう。

なぜ学歴フィルターはあるのでしょうか?

では、なぜ学歴フィルターはあるのでしょうか。様々な理由がありますが、主な理由としては下記の理由が考えられます。
・厳しい受験を勝ち抜いてきたため、自立心・スケジュール管理等の仕事で必要な能力が期待できる。
・高いIQを期待できるため、仕事面でも優秀であることを見込める
・採用側が同じ大学出身者で固められており、親しみを持ちやすい

これらの理由が考えられますが、学歴フィルターがある一番の理由として「ふるいにかける明確な基準になる」ことが挙げられます。

人気の企業や大企業になると万単位の応募が殺到します。この数を効率的にさばくには説得力のある明確な基準が必要です。そこで、「誰にでも分かる明確な基準」として「学歴フィルター」が用いられるのです。

学歴フィルターが使われるとき

ここからは、具体的な学歴フィルターが使われる場合について説明していきます。

①説明会の人数制限

就活の第一歩といえば「企業説明会」。ここで学歴フィルターが使われることがあります。
広く開かれている企業説明会といっても、会場の規模に限りがありますし企業側としても学歴フィルターに引っかかる学生を多く呼びたいと考えている企業もあります。
そこで学生を絞る際に、学歴フィルターを使います。有名大学の学生は企業説明会にさっと参加予約ができたのに対し、無名大学の学生はなかなか企業説明会の予約が取れなかったなんてことも実際に起きています。また、上位有名大学の学生が企業説明会の予約を取り損ねた際に「わざわざ空き日程を案内された」ということもあったそうです。

②適性検査

採用試験の一次試験として様々な適性検査がありますよね。ここでも、点数の基準として学歴フィルターが使われることもあります。
有名大学の学生は、厳しい受験を勝ち抜いているため最初から、ある程度の学力が見込まれます。そのため、あらかじめ適性検査の基準点が低く設定している企業もあります。
一方で、無名大学・新しい大学の学生は学力が、どの程度なのか未知数なので適性検査の基準点を高く設定している企業も存在します。

③エントリーシート

膨大な数のエントリーシートが殺到する企業は、学生を絞り込みために学歴フィルターを用いることも。
万単位のエントリーシートを効率的に捌くには学歴フィルターで、ある程度絞り込む必要があります。そのため、有名大学の学生は適当にエントリーシートを書いて応募しても通ってしまう場合もありますし、逆に無名大学・新しい大学の学生が考え込んでエントリーシートを書いて応募しても通らないことが実際に起きています。

学歴フィルター(ターゲット大学)を設定している企業の割合について


上記で述べた通り、学歴フィルター(ターゲット大学)を設定している企業は全体の39%でありました。しかし、「学歴フィルター」の基準が非常に高いというわけではありません。

企業向けアンケートでは、「すべての学生を通常の選考ルートに上げている」という企業が多く、全体の7割強に達していることが分かりました。さらに、学歴フィルター(ターゲット大学)の基準が厳しい企業は約2割と以外にも少ないことが判明しました。

絶対に学歴フィルターが無いとは言えないものの、学歴フィルターの基準が厳しい企業は少ないですし、その企業を避ければ無名大学・新しい大学の学生でもチャンスがあるということです。

それでは、「学歴フィルターの基準が厳しい企業」はどのように調べればいいのでしょうか。

『就職四季報』(東洋経済新報社刊)の採用実績校の欄には、採用校(大学院を含む)とその人数が掲載されているため、その欄を見れば学歴フィルターの基準が厳しい企業が明確に分かります。

また、大学のキャリアセンターにいけば自分の大学のOB・OGが、どのような企業に就職しているかどうかを聞くことができるので、学歴フィルターについて気になるようでしたら上記の2つの方法で調べてみましょう。
また大学のOB・OGに直接話を聞くことも1つの手です。実際に就活を経験してきたからこその有益な情報が手に入るはずですよ。

学歴が低くとも突破できないわけではない!学歴よりも大切なこと!

ここまで学歴フィルターについて説明してきました。悲しいことに確かに学歴フィルターは存在します。
しかし、就活で大切なのは変えられない学歴よりも、その他の就活対策です。

就活は「自分が今までなにをしてきたか」「これから何をしていきたいか」「自分がどんな人間か」「志望する業界に自分が合っている理由」等の自分をアピールしていく場です。
有名大学の学生だからといって学生時代に何もせず過ごしていては就活でのアピールポイントがなにもないです。
逆に名大学・新しい大学の学生でも充実した学生生活を過ごし、資格を取り、様々な経験を積むことができれば就活でのアピールポイントは多いでしょう。
そのような学生生活をもとに充実したエントリーシートを書き、面接対策をしていくことで自分がなにごとにも積極的な姿勢を取ることができるというアピールになります。
そのような積極的な姿勢を示すことは就職に対する熱意が伝わりますし、企業側も入社後の伸びしろを期待して、採用することでしょう。

「どの大学出身か」よりも「自分をどのようにアピールするか」を重視して就活に臨むことが採用への近道になります。

さいごに

ここまで学歴フィルターについて説明してきました。就活で、ただでさえ不安になっているのに「学歴フィルター」なんて耳にしたら「就活が上手くいかないのじゃないか…」なんて不安になりますよね。
学歴フィルターは確かに存在しますが、企業によってまちまちです。しかし学歴フィルターに必要以上に神経質にならずに、学歴以外の点でアピールできるように、志望動機や自己PRがしっかりできるように準備しましょう。
また学歴フィルターが厳しくない企業を狙っていくことも一つの手ではあります。学歴フィルターが厳しくない企業を探すためにも情報収取は徹底的に行いましょう。情報収取も立派な就活のひとつです。身の回りの環境をフル活用していきましょうね。