1.三菱商事の事業内容

 三菱商事と言えば、三井物産伊藤忠商事と合わせて日本トップクラスの商社として有名です。しかし、総合商社という日本独特のビジネスモデルにおいて、具体的にどのような事業が展開されているのかを理解していない人もいるでしょう。


総合商社が手掛ける事業は多岐にわたります。大手総合商社である三菱商事への就職に関心があるなら、総合商社、とりわけ三菱商事がどのような事業を展開しているのかを知っておきましょう。


まず、業績の急落・およびその後のV字回復に寄与したのが資源事業です。


総合商社の資源事業は、海外で油田やガス田、鉱山などの開発を行い、権益を取得して進められます。資源価格は景気変動に左右されやすいためリスクの高いビジネスです。


しかし、ハイリスクを負える存在が限られていることから、資源価格が堅調に推移すれば大きな利益を狙うことができます。


日本は資源に乏しい国のため、今後も大量の資源を輸入することになるでしょう。工場の海外移転が進んだとしても、火力発電用の燃料など生活に必要な資源は少なくありません。


資源を確保するにあたり、海外で資源開発に注力する総合商社の存在は不可欠と言えます。


また、インフラ整備事業にも取り組んでいます。


海外で電気や水道などのライフラインを整備する事業などがあります。


発展途上国の生活水準の向上に貢献できるなど、利益追求だけでなく社会貢献にもつながる大切な事業です。


アジア地域はもちろん、アフリカ地域などではまだまだインフラ整備が遅れている国が少なくないだけに、資源ビジネス同様、継続性に期待できる事業です。



さらに、不動産事業金融事業も実施しています。


三菱商事という名前を聞けば、かつての三菱財閥を連想する人もいるでしょう。

日本産業を支えてきた三菱グループには、様々な企業があります。


金融分野においては、三菱東京UFJフィナンシャル・グループが高い知名度を誇っていますね。多数のグループ企業を抱えながら、三菱商事は幅広いビジネスを展開していることがわかります。


2.競合と比較した三菱商事の強み

総合商社では近年、「非資源No.1」を目指す伊藤忠商事が力を伸ばしてきています。


しかし、三井物産や三菱商事も赤字からのV字回復を果たしており、大手総合商社としての地位を守っています。では、三菱商事には他社と比較してどのような強みがあるのでしょうか。


まず、総合商社の中でもトップクラスの規模を誇っている点が強みの1つです。


資源事業を紹介する際に少し触れましたが、商社ビジネスにおいては先行投資がかさむケースが少なくありません。


そのため、体力がある商社でないと、リスクを取りつつ大きなリターンを狙うことができなくなってしまいます。


総合商社トップクラスである三菱商事は、十分なリターンが見込めると判断すれば、積極的にリスクを取れるだけの収益源を確保しています。

取り組む事業の幅を広げることでリスクを分散できることも、規模が大きいメリットです。


また、資源価格の変動によって三菱商事・三井物産の業績が低迷する中、伊藤忠商事が非資源部門における強みを発揮して勢力を拡大しました。


短期的には三菱商事にとってのマイナス材料ですが、中長期的にはすでに強みを持っている資源ビジネスで収益を確保しつつ、非資源部門を強化することで景気変動に業績が左右されにくい商社に成長できるチャンスがあります。


総合商社No.1としての地位を取り戻し、確固たるものにする方策が明確にある点も三菱商事の魅力と言えます。


すでに資源ビジネスなどで新興諸国とのパイプを有している三菱商事では、生活用品ビジネスなどにおいて新興国の成長を取り込みながら非資源部門を強化するチャンスが十分あります。


世界的な景気回復で資源価格が安定してきていることを追い風に、非資源部門を強化するチャンスが広がっていることも三菱商事の強みと考えられます。


さらに、知名度が高く就職先としても毎年人気を集める点も、今後の三菱商事を支える強みと言えます。


近年では景気回復と少子高齢化の進行で、労働力の確保が難しくなってきています。働き方改革により労働者1人当たりの労働時間が短縮される流れになってきていることも背景にあります。


そのため、魅力度の低い企業は優秀な人材確保に苦しみ、ビジネスチャンスを活かしきれない可能性があります。


ところが、三菱商事は高い知名度と人気を誇っているだけに、毎年就職希望者が押し寄せてきます。就職市場が好調になっても魅力的な人材を選抜できる点は、中長期的な三菱商事の成長を後押しすると言えそうです。



3.どのような学生を求めているのか

三菱商事は大手総合商社として高い知名度と人気を誇ります。商社は年収が高いこともあり、多くの学生にとって羨望の的でしょう。そのため、三菱商事への入社を検討しているなら、どのような学生が求められているのかを知っておくことが最低限必要です。


まず、総合商社では海外とのコミュニケーションが多く求められます。


特に、三菱商事では非資源部門を強化しているとはいえ、依然として資源ビジネスが強みの1つです。


そのため、オーストラリアやブラジルなど幅広い海外資源国に赴くだけの語学力が必要となります。英語ができることはもちろん、その他の言語も操ることができればプラス材料となるでしょう。留学経験や、外国語でのコミュニケーションが求められるインターンシップの経験などがあればアピールにつながるでしょう。


海外とのやりとりが多くなるという性質からは、語学力と合わせて体力も要求されます。


近年はインターネットの普及で海外出張の回数が減ってきているとも考えられますが、海外にも多くの拠点がある以上、依然として海外と日本を行き来する頻度が高くなることは十分あり得ます。


長時間にわたる移動があっても自らの能力を100%発揮できるうえで、体力がある学生は三菱商事にとって魅力的に映ると考えられます。


さらに、小売業など一般消費者にとって身近なサービスへの関心が高い学生も、三菱商事の将来戦略を考えるとニーズが高いのではないでしょうか。


伊藤忠商事の成功を追う形で、三菱商事も今後非資源部門を強化していく見通しです。非資源部門では一般消費者の生活に密着した商品・サービスを扱うケースが増えます。


そのため、資源や社会インフラといった派手さのある大規模な事業への関心だけでなく、生活密着型のビジネスにも関心のある学生を一定数確保しておくメリットがあります。


商社への就職を検討している就活生は、当然ながら商社ビジネスの魅力を就職面接などでアピールすることになるでしょう。しかし、商社への関心の高さを単純にアピールするだけでは、並みいる優秀な学生の中で自らを印象付けることは困難です。


三菱商事が目指す方向についても適切に理解したうえで、従来商社が担ってきた基幹事業とは異なる分野にも関心を持っている学生と見なされれば、三菱商事が求める人物像に近づけるチャンスがあるでしょう。



4.まとめ

三菱商事は社会インフラ事業や資源事業など、様々な事業を展開する総合商社です。

総合商社トップクラスの地位を活かしながら、今後は非資源部門を強化することによるさらなる成長に期待できます。

すでに収益基盤が確立されていることに加えて、時代に合わせて変化する姿勢も見せていることから、今後も人気の就職先であり続けると予想されます。

三菱商事への就職を検討している就活生は、商社ビジネスについて理解することはもちろん、伊藤忠商事や三井物産といった強力な競合他社との比較や、三菱商事が求める人材について認識したうえで就職活動を進めていきましょう。