就職活動を始めると一度は耳にするワード、フェルミ推定。Googleや大手企業の試験などで実際に使われたことがある理論です。 どこかで聞いた事がある、という方が多いのではないでしょうか? 一体フェルミ推定とはナニモノなのか、またフェルミ推定はどういう時に役に立つのでしょうか。今回はフェルミ推定のやり方やその意義などを紹介し、就活にもビジネスにも役立てるようになりましょう! フェルミ推定を知りたい、使いたいという方は必見です。


(Photo by http://www.slideshare.net/Tomoshige/powerpoint-8288989)

  

フェルミ推定とは?

フェルミ推定(フェルミすいてい、英: Fermi estimate)とは、「実際に調査するのが難しいような、捉えどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算すること」を指します。 よくある課題型のビジコンや、一見無謀な課題が出された時に非常に役に立つ思考法です。 簡単に言うと、それらしい数値を論理的に組み立てて、求めたい数値を当ててやろう!、という事です。

就活においては大企業、特にコンサルティングファームの面接でよく聞かれる鉄板のネタとなっています。


フェルミ推定 例題

フェルミ推定でよくある例題としては、

・日本に電柱は何本あるか?
・アメリカ・シカゴには何人(なんにん)のピアノ調律師がいるか?
・渋谷マークシティにあるスターバックスコーヒーの1日の売上は?

(実際の面接では3分で答えを出さなければならなかったそうです。)

などがあります。 このような、一見「分かるわけない!」と思うような問題に対して答えを出していかなければなりません。 その時に有効な手法となるのが「フェルミ推定」です。では一体どのように答えを出していくのでしょうか。

また大切なのは、論理的にポイントを抑え問題を紐解いていくことです!

フェルミ推定・解き方 手順①

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(出典:http://gaishishukatsu.com/archives/47879)
例えば、上記の例題、「アメリカ・シカゴには何人(なんにん)のピアノ調律師がいるか?」という問題に関しては、問題を解く前にまず前提のデータを仮定します。

・シカゴの人口は300万人とする
・シカゴでは、1世帯あたりの人数が平均3人程度とする
・10世帯に1台の割合でピアノを保有している世帯があるとする
・ピアノ1台の調律は平均して1年に1回行うとする
・調律師が1日に調律するピアノの台数は3つとする
・週休二日とし、調律師は年間に約250日働くとする

そもそもこの仮定をどのようにするかですが、フェルミ推定をする上で重要になってくるのは基礎知識としてのデータです。 対策としては「事前に重要なデータを覚えておくこと」です。

以下のようなデータです。(これは日本についてです。)

・人口 1億2000万人
・平均寿命 80歳
・国土面積 38万(平方メートル)
・平均年収 440万円
・フリーター平均年収 100万円
・小学校の数 20000校
・中学校の数 10000校
・高校の数 5000校
・大学の数 750校
・大企業の数 1万社
・中企業の数 50万社

以上を覚えておくと問題ないと言われています。 このデータがあれば議論を進めやすいのではないかと思います。


フェルミ推定 解き方手順②

そして、実際に答えを出す作業に移っていきます。 以下は数ある方法の中の1つですが、上記の前提データを踏まえると、

①シカゴの世帯数は、(人口300万[人] ÷ 3[人/世帯])= 100万世帯程度
②シカゴでのピアノの総数は、(100万[世帯] ÷ 10[世帯/台])=10万台程度
③ピアノの調律は、年間に10万件程度行われる
④それに対し、(1人の)ピアノの調律師は1年間に250[日] × 3[台/人] = 750 台を調律する
⑤よって調律師の人数は10万[台] ÷ 750[台/人] = 130[人]程度と推定される

という流れで数字を算出していきます。 (参考:Wikipedia)

*人事が見ているポイント フェルミ推定をする上で注意すべき点は正解が存在しないことです。推測で変数を適当に選び計算するだけなので、実際の調律師の数に近いほど優秀な推測だということにはなりません。そのためデータがない中で、いかに論理的に答えを導き出せるかがみられています。

 

フェルミ推定はもう古い!?

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ーGoogleのラズロ・ボック氏
ここまでフェルミ推定について述べてきたくせに「なんなんだよ!」と思われるかもしれませんが、実際の業務ではフェルミ推定はあまり役に立たないツールになってきているようです。

フェルミ推定は就職面接での流行となり、多数の企業が導入していますが、その筆頭はやはりGoogleです。 昨年、Googleは「この手のクイズ面接には効果がないことがビッグデータでの検証により判明した。だから今後は行わない。」と発表して話題となりました。

フェルミ推定を用いた面接で人物の思考力が測れるという仮説がビッグデータにより棄却された、つまりフェルミ推定と思考力には何の相関もないという結論にたどり着いたのです。

ですので、これからはフェルミ推定を行う企業は減っていくと思われます。

「飛行機の中にゴルフボールをいくつ詰め込めるか、マンハッタンに給油所は何か所あるか。完全に時間の無駄。こんな質問では何の予測もできない。」 NYTのインタビューにこう答えたのは、グーグル人事担当の上級副社長を務めるラズロ・ボック氏。 グーグルがこれまで実施してきた採用試験の方法論を真っ向から否定する発言をした。 さらにグーグルの広報担当者は米ABCニュースの取材に、試験内容を変更すると認めた。 入社希望者から不評をかっており、何よりも「この種の質問を解き明かす力と、将来業務で発揮できる能力やIQとの関連性に疑問が生じた」のが大きな理由だと答えた。

(出典:http://www.j-cast.com/kaisha/2013/07/03178573.html?p=all)



ある程度フェルミ推定がどういうものなのかお分かり頂けたのではないでしょうか。 何度もいいますが大切なのは考え方です!

フェルミ推定4つのコツ

●いきなり答えを出そうとしない。
●求める数字をMECE(もれなく、だぶりなく)に分解する。
●求める数字があいまいならば、更に分解
●常識でチェックする

これを抑えて、答えのない問題に最適解を導き出しましょう!

実際の仕事において役に立つことは少ないかもしれませんが、就職活動中に面接で聞かれるかもしれないですし、ちょっとした思考法の一つとして頭を動かす機会にしてみても損はないかもしれません。