理系の人が目指す業界。高学歴でなければ就職出来ない。高収入が得られる業界。
医薬品業界に、このような良いイメージを抱く人も多いでしょう。医薬品と聞くだけで何となく、難しくて堅苦しいイメージもあると思いますが、実際のところはどうなのでしょうか?
医薬品にもさまざまな種類があるように、医薬品業界の仕事内容も多岐に渡ります。そこで今回は「医薬品の業界研究」というテーマでお話していきます。ぜひ、参考にしてくださいね。

難しい?医薬品業界とは

私達が健康を維持していくためにも、命をつないで行くためにも、医薬品は必要不可欠です。
それゆえ医薬品業界は、専門的な知識を得た人だけが職に就けるという分野であり、どうしても難しいイメージがありますよね。
ちなみに、医薬品業界では「医薬品の販売」「研究」「開発」「効果の検証」が主な業務内容になり、それぞれの分野のスペシャリ
ストが働いています。

医薬品業界の特徴を押さえよう

医薬品業界への就職を考えている人に、ぜひ確認していただきたい業界の「2つの特徴」があります。

1つ目の特徴は、就職を希望する人たちが難関学部を卒業しているという点です。

医学部や薬学部を卒業したのち、医薬品業界を目指す人がほとんどです。
それゆえ、どうしても新卒入社時の平均年齢が高くなってしまう傾向があるのです。
「理系の人しか、医薬品メーカーには入社出来ないの?」「文系に進んだ時点で、医薬品業界は目指せないの?」と疑問に思う人もいるでしょうが、研究職や技術職は難しくても、営業職なら文系の人も就職できます。

2つ目の特徴は、他の業界と比較して平均年収が高い点です。

医学部・薬学部で学んだ知識は、より専門性に富んでいるため、知識がスキルとなり企業から評価されます。
また大学院卒業時の初任給は、高卒や短大卒の人よりも高くなるので、ごく自然な流れで他業種よりも平均年収が高くなるのかもしれません。
医薬品業界は高収入という世間的なイメージは、あながち間違ってはいません。私達の命や健康を守るために必要不可欠な医薬品、決して亡くなることが無いものだからこそ、業界自体も決して無くなることはないでしょう。

医薬品業界の動向

日本国内の医療用医薬品市場規模は、世界でもトップクラスです。

近年日本では、医療費削減のために値段が比較的安い「ジェネリック医薬品」の普及が広められています。
ちなみに、ジェネリック医薬品とは先発医薬品の特許が切れた後に製造される、俗に言う後発医薬品のことです。
国は2020年に向けて、ジェネリック医薬品の更なる国内シェアを促進していく計画のようです。ハッキリ申しあげて、医薬品業界は競争が激しいです。国内の医薬品メーカー同士の競争だけではなく、日本と海外での競争も避けられません。そのような状況の中で、イマ日本の医薬品メーカーは自社の製品や事業計画を見直している最中であると言えるでしょう。

自社の強みとはなにか、反対に自社があまり力を注いでいない事業をどうするべきかを考えて、事業交換をおこなう企業もあります。医薬品メーカーは基本的にはライバルですが、場合によっては手を組んで相乗効果を狙うこともあるのです。

医薬品業界の業界シェアについて

医薬品業界は、日々競争が激化しています。医薬品業界に就職したいと考えているのなら、業界シェアについてしっかりと確認しておきましょう。

「武田薬品工業」

はじめに、業界で圧倒的な存在感を放っているのが、「武田薬品工業」です。日本橋に本社を構える武田薬品工業は、従業員数が2017年3月末時点で6,638名 ( 単体 ) 、29,900名 ( 連結 ) という、業界最大手の医薬品メーカーです。医薬品の国内生産の1割以上シェアしているという、名実ともに高い会社だと言えるでしょう。

「アステラス製薬」

トップの武田薬品工業を必死に追うのが、アステラス製薬です。決して単独首位を許しているわけではなく、その差はわずかとなっています。アステラス製薬だけで見れば、非常に業績の良い会社であり、今後の伸びしろも十分にあります。

その後に続いていくのが、第一三共・大塚HD(医療関連事業)・エーザイなど、みなさんもよく御存じの医薬品メーカーばかりです。

このように、国内の医薬品メーカーは独走態勢の企業はなく、どれも僅差でひしめき合っている状況です。どのメーカーも、新薬の開発・製造が大きなテーマとなっています。

業界が抱える課題とは?

医薬品業界は、安定した求人が見込める業界です。しかしながら、就職を考えている人は、医薬品業界が抱える課題についてもよく理解しておく必要があります。

最大の課題は企業同士の合併や、再編の動きの活発化です。

国内の医薬品メーカー同士での再編や合併だけではなく、近年は海外メーカーとの合併の動きも見られることから、新卒で入社した会社名と定年退職時の会社名が違っていることは珍しくはありません。
国内メーカーが海外メーカーの買収に意欲的になるのは、海外メーカーに売上高が到底叶わないからです。
規模を大きくして潤沢な資金のもとで、新薬を開発していきたいという想いがあるのでしょう。

医薬品業界の具体的なお仕事

医薬品業界の業務内容は、多岐に渡ります。「高収入だから目指したい」「ただ何となく志望してみた」という生半可な気持ちでは、目指すべき業界ではありません。
さて、具体的なお仕事内容を確認していきましょう。

1.多くの人の命を助ける。医薬品の開発

医薬品メーカーの醍醐味とも言える、医薬品の製品開発業務。
新しい医薬品を作り出すことが最大の目的であり、開発にはとてつもなく長い時間をかけておこなっていきます。数年で開発出来るわけなどなく、10年、20年はかかるのが当たり前です。
費用も一般的には考えられないような、莫大な金額となり、億単位になるのは間違いありません。
スケールの大きな仕事ですので、開発チームの責任とプレッシャーは非常に大きなものになるのは、避けられないことでしょう。

2.世に送り出すために。医薬品の生産

開発チームが作り上げた医薬品を、実際に生産していくのが、生産部門のスタッフです。
世に送り出せる形にしていくために、生産工程や管理を徹底して、作り上げていきます。

3.ここが大事。研究

医薬品は、作って終わりではありません。いったいどのような効果があるのか?安全性は確かなのか?など、あらゆる面から研究をしていくことが必要不可欠です。

4.営業(MR)

医薬品業界のいくつかの業種の中でも、唯一文系の人でも志望出来るのが、営業職です。
通称MRと言われています。医薬品に関する知識を学び、医師・薬剤師に対して薬の魅力や効果、効能を説明するのが仕事です。どんなにクオリティの高い医薬品でも、営業の良しあしで売り上げは大きく異なります。実力が顕著に出る業種となりますので、アグレッシブに業務に向きあう姿勢が求められます。
医薬品に関する知識はもちろん、相手を不快にさせないコミュニケーション能力と自社製品の良さをダイレクトに伝えるプレゼン力が重視されるのです。



まとめ

いかがでしたか?今回は「医薬品業界」について詳しくお話しました。
世間一般の医薬品業界のイメージは、高収入・高学歴・難しいなどですが、あながちそのイメージも間違っていないことが分かりました。研究職や技術職は理系出身者がほとんどですが、営業職の場合は文系出身者でも可能です。医薬品という専門知識を身に付けることは、生きていく上で必ず役に立ちますので、文系出身者も臆することなく、医薬品業界を目指してみましょう。