1.富士フィルムの事業内容

 富士フィルムは社名に「フィルム」とつくことから、カメラ関連のビジネスを展開しているのではないかと考える人もいるでしょう。確かに富士フィルムは写真用のフィルム製造に取り組んできました。しかし、デジタルカメラの普及等で写真用フィルムの需要は急減しています。近年では写真用フィルムの製造技術を活かして、医療分野などに積極進出して成功しています。では、現在の富士フィルムの事業内容を見てみましょう。


 富士フィルムのメインビジネスと言えるのが、子会社の富士ゼロックスが展開するドキュメントソリューション事業です。具体的には、オフィスなどに設置される複合機を提供しています。書類の電子化が進むなどして複合機の需要が大きく伸びる時代は終わりましたが、富士フィルムの業績を支える主要事業としての地位は保っています。今後も複合機の需要は一定程度存在し続けると考えられることから、安定性に期待できる事業として輝き続けると想定されます。富士フィルムと聞くだけでは複合機事業に思い至らないかもしれませんが、子会社に富士ゼロックスを抱えているとわかれば主要事業として想起しやすいという人もいるでしょう。就活で富士フィルムに関心を持っているなら、子会社富士ゼロックスの存在は念頭に置いておきたいところです。


 成長が期待できるのが、インフォメーションソリューション事業です。インクジェットプリンタ用のインク開発など個人にも関わりの深い身近な事業から、X線を活用した画像診断装置など幅広い製品が見られます。ヘルスケア関連の事業は国内市場の拡大にも期待できるだけに、富士フィルムの今後を支える事業となる可能性があります。中長期的には新興諸国での需要拡大も取り込めれば、富士フィルムが展開する事業の筆頭格に育つこともあり得ます。


 ヘルスケア分野では写真系の技術を活用した製品だけでなく、医薬品製造にも取り組んでいます。先進的な技術が要求される分野に対して、可能であれば着実に事業対象に加える姿勢の表れと言えるでしょう。バイオ分野はベンチャー企業も多いため、富士フィルムが企業規模を活かしてM&Aなども活用すれば、成長の柱になるチャンスがあります。国内はもちろん、海外でも所得水準の向上や医療の進歩に伴って、富士フィルムの製品への需要が高まることが考えられます。


 このほか、富士フィルムの発展に貢献したフィルムやカメラなどの写真事業も、上記の2事業には見劣りするものの主な事業の1つです。スマートフォン等の電子デバイスが普及した現在でも、写真をプリントして残したいと考える層が根強く存在することから、売上高に占める比率は低下しても業績に一定の貢献を続けると見込まれます。写真関連の技術に関心を持つ人も、富士フィルムの主要事業に携わることで自らの興味を活かせるチャンスがあることがわかります。



2.競合と比較した富士フィルムの強み

 富士フィルムが取り組む医療分野は少子高齢化が進んでいることや医療技術が進歩していることから、将来性が大いに期待できる分野です。そのため、新事業として取り組み始める企業も少なくありません。そこで、競合と比較して富士フィルムがどのような強みを持っているのかをチェックしてみましょう。


 まず、写真関連の技術を長年磨き上げてきたことが強みの1つです。身近な写真撮影については、高度な技術を要する製品が活用される場面は限られます。しかし、医療や宇宙開発といった分野では、高度な写真技術への需要は高まっています。独自性の高い高度な技術を有していることにより、他社の参入を防ぎつつ利益率を追求しやすい点で富士フィルムの将来は明るいと言えるでしょう。


 また、高度な写真関連技術があるがゆえに専業体制を守るのではなく、積極的に事業を多角化してきた点も富士フィルムの強みです。子会社も活用しながら事業の多角化を推進したことで、特定の事業領域に逆風が吹いた際にも全体業績の落ち込みを抑えることができます。事業のリスク分散を図っている点は、将来に向けて研究・開発費などへの投資を増やす際にも安心材料となるでしょう。すでに研究・開発費を多額に計上していることから、研究・開発への意欲の高さがうかがえる企業です。現状に満足せず、常に将来に向けた投資を怠らない姿勢は企業寿命を伸ばす要因になります。


 事業の多角化を進めるにあたっては、闇雲に新事業を立ち上げるのではなく、自社の高度な技術を活かせる分野に進出した点も評価できます。大企業の中には、事業の多角化を進めたものの経営資源が分散してしまい、結局現在では事業の選択と集中を進めるという回り道をしてしまっているところも見られます。富士フィルムはリスク分散だけでなく経営資源の効率的な活用についても配慮しながら事業の多角化を進めてきたため、無駄なく成長できている点で他社をしのいでいると考えられます。


 事業面だけでなく、労働環境の面でも富士フィルムへの評価は高いようです。特に育児を支援する制度が充実しているとのことで、女性の社会進出が進んでいる時代の流れに合致することから優秀な人材を集めやすくなるでしょう。政府が進める働き方改革の方向性とも合致していることから、社会的な評価を高められるチャンスも大きいです。


3.どのような学生を求めているのか

 今では従業員数が極めて多い大企業に成長した富士フィルムでは、新卒採用も多数行われています。とはいえ、就職希望者も多いことから決して入社は容易ではありません。そのため、富士フィルムへの就職を考えているなら、まずはどのような学生が求められているのかを把握しておきましょう。


 まず、先述のように富士フィルムでは労働環境の整備に力を入れています。そのため、多様な働き方をする人材を受け入れる姿勢を持った学生が求められていると考えられます。もちろん、入社したからには企業の利益のために一所懸命に働くことが当然です。しかし、働くことばかり、利益を追求することばかりを考えるのではなく、自らの人生についても考えられる広い視野を持った人材が、富士フィルムには適しているのではないでしょうか。


 また、富士フィルムの事業の大半は、高度な技術を活用するものです。そのため、先進的な技術に関する知識を持った学生のニーズが高いと言えます。特許の取得などが推進されているほか、研究・開発費が多額であることから、既存の技術に対する理解の深さに加えて、新たな技術・製品の開発に意欲的な人材も歓迎されるでしょう。


 高度な技術が役立つ場面が多いとなれば、理系の学生が活躍の中心になると言えます。ただ、いくら優れた製品を開発することができても、販売促進などにも着実に取り組まなければ利益にはつながりません。そのため、必ずしも理系の学生だけが富士フィルムで成長できるとは限りません。文系の学生でも、文系に進みはしたものの技術分野に関心があるなどの人は、理系エンジニアとも良好なコミュニケーションを取りながら富士フィルムの業績に貢献できるチャンスがあるでしょう。



4.まとめ

 富士フィルムは、カメラフィルム製造で培った技術を活かしながら、着実に事業を多角化してきました。規模が大きくなった現在でも、研究・開発に積極的な姿勢を崩さずに将来を見据えた経営を続けています。専門性の高い技術を扱う企業だけに学生に求められるレベルも高くなりますが、労働環境が良好である点などを考慮すると高いハードルをクリアしてでも入社する価値がある企業の1つでしょう。文系の就活生も、理系分野への関心が高い層を中心に、富士フィルムへの入社を検討してみてはいかがでしょうか。

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