業界研究を行うと、自分の行きたい業界が明確になり、企業を絞っていくことができます。自分に合う会社を見つけるためにも、業界研究は欠かせません。今回は、外食業界についてご紹介していきます。

現在の動向

外食業界に属する企業には、レストラン・居酒屋・カフェ・ファストフードなどがあります。現在の動向としては、超高齢化社会に対応したサービスを始めている点があります。たとえば、レストラン。かつては、レストランに足を運んでくれるお客様がたくさんいましたが、お客様が高齢化し、外食が難しい場合も。そんな時にうれしいサービスが「宅配」です。

宅配というと以前は、お寿司やピザがメインでした。ここ最近は、ファミレスなどで宅配専用メニューを設定し、個人宅に届けるレストランも増えてきているのが特徴です。宅配は高齢者だけではなく、若いインドア層にも魅力的なサービスとして選ばれ、今後も成長し続けると見られています。

また、外食に行く人の特徴をとらえた業界の動きがあります。ここ数年では節約志向の高まりから、消費者のニーズに合った価格帯を設定しているところも少なくありません。一方で、安心安全を求める消費者向けに、国産や有機野菜など質にこだわったメニューで、勝負する動きもあります。しかし、天候不順などで材料費がかつてより高騰し、利益を圧迫してしまうケースも否めません。外食業界では、各社生き残りをかけて競争が激化しているといえます。

さらに、人手不足の問題もあります。パートやアルバイトの多い外食業界では、いかに人手を確保するのかも課題です。ここ最近では、寿司チェーン店で接客用ロボットを採用した例もあります。高齢化社会・節約ムード・人材の確保など、いろいろな課題がある外食業界。次からは、代表的な企業と各社の取り組みについてみていきたいと思います。


代表的な企業6社と各社の特徴

1.株式会社すかいらーく

すかいらーくは、ガスト・バーミャン・ジョナサンなど、だれもが1度は行ったことがあるファミレスを手がけている企業です。店舗数は3000店舗以上で、業界でも存在感があります。「すかいらーく就活アカデミー」と称し、グループの店舗などで働くアルバイト社員が参加できる就活支援イベントも、2017年10月に開校しました。アルバイトをしながら就活する学生を、応援するしくみです。また、少子高齢化の背景もふまえ、24時間営業の縮小も実施しています。

2.日本マクドナルド株式会社

マックやマクドなどの愛称で親しまれているバーガー店。特徴的なメニューで、消費者を飽きさせないのも魅力。平日昼(10:30~14:00)限定のバリューランチを打ち出し、お客様に気軽に利用してもらえるサービスも提供しています。また、バリスタ監修のカフェなど、低価格でも高品質なメニューへの取り組みも。さらに将来の人材確保を見据え、「クルー体験会」を開催したのも話題になりました。

3.株式会社サイゼリヤ

イタリアンのファミレスといえばサイゼリア。以前から”低価格でおいしい”のが魅力的で、どの店舗もにぎわっていることも多いです。テイクアウトOKのメニューもあり、気軽に味わえるのも魅力的。企業理念は、「人のため・正しく・仲良く」。2017年11月には、再来年9月までに全店舗禁煙化を目指すとの報道もありました。国の受動喫煙対策に先回りした対応に、賛同する声も上がりました。

4.株式会社くらコーポレーション

回転寿司でおなじみの、くら寿司を運営しています。化学調味料・合成着色料・保存料などの添加物を使用しない、安心で安全な食を提供しているのが特徴です。寿司だけではなく、サイドメニューなど全食材に無添加を徹底しています。アメリカや台湾にも出店し、日本食ブームを牽引。2016年には、「顧客満足度日本一」を獲得しました。

5.株式会社王将フードサービス

「餃子の王将」の名で親しまれている王将は、餃子のファンを筆頭に多くのお客様から選ばれ続けています。東証一部上場企業であり、スタッフを大切にする社風から、長く働きやすい環境も魅力です。説明会では、就活生の悩みを聞く場を設けるなど、就活中から人を大切にしている企業であることがうかがえます。海外に出店するなど、世界を視野に食のおいしさを届けています。

6.株式会社リンガーハット

100%国産野菜にこだわり、7期連続の業績アップを成し遂げているリンガーハット。お客様に正直でありたいという姿勢から、就活生に対しても正面から向き合っている企業です。等身大の自分を見せられる面接で、就活生に自分の将来をじっくりと考えられる機会を提供しています。また、女性管理職の登用に力を入れています。


どんな職種があるの?主な職種をご紹介

ご紹介した6つの企業のほかにも、外食業界にはたくさんの企業があります。どんな企業があるのか、興味があったら研究をしてみましょう。業界研究をしたら次にやることは、その業界でどんな仕事があるのかを知ることです。外食業界の職種についても、考えていきましょう。

1.ホールスタッフ

店舗に来店するお客様の接客がメインです。コミュニケーション力が問われるお仕事ですが、新人研修を兼ねて、全新入社員にホールを経験させる企業もあります。接客スキルだけではなく、メニューを覚えることや、現場の雰囲気を感じることができるメリットもあります。

2.店長

1店舗を任されるなど、店舗の責任者です。ホールスタッフをまとめる統率力や人間力も問われます。新人教育をする場合もあります。ホールスタッフよりも年収が高く、店舗経営のノウハウも身につけられます。お客様の声に耳を傾けたり、時にはクレームに対応したりして、スムーズな運営に取り組みます。

3.バイヤー

材料の買い付けを行います。国産野菜を生産する契約農家を訪れることや、価格交渉なども行います。企業が求める材料の仕入れ先開拓などもします。限られたコストや期間で、いかに効率的に仕入れられるか、経験と調整力も問われます。

4.店舗開発

調査に基づいて出店計画などを行います。新規出店では地域の特徴から、どのような場所に出店すべきかを調査。またニーズに基づいて、店舗の大きさや内装などを検討します。近年では、アメリカやアジアに出店する企業も増えてきました。日本だけではなく、海外のトレンドにも詳しい人や、語学力も求められています。

5.商品開発

店舗に出すメニューの開発を行います。アイデアを形にする発想力が求められる仕事です。また価格などの点もふまえ、周囲を納得させる提案力も必要です。外食業界では季節やイベント等も考慮し、お客様に選ばれるメニュー作りを日頃から考えていかなければなりません。

6.本部スタッフ

チェーン店の本部などで、総務や事務・勤怠管理などを行います。窓口となって、さまざまな対応が必要となります。お客様と接するよりも、取引先企業・マスコミ・株主など社外関係者との応対に追われる場合もあります。

業界の今後

超高齢化社会のピークは、2040年頃といわれています。今後も高齢者に注目したサービスの充実が期待できます。2020年にオリンピックが開催されますので、外国人観光客を意識したサービスにもますます力を入れていくことと思われます。外食業界は、充実したお惣菜で消費者を惹きつけるコンビニや、デパ地下などの中食業界との競合が避けられません。中食の高いクオリティは、外食業界にとっても脅威であることでしょう。生き残りをかけた戦いが、今後も続くと考えられます。

最後に

社会的ニーズへの対応が早い外食業界は、今後も社会的背景を考慮した仕組みをどんどん打ち出してくることと思われます。外食業界を目指すなら、消費者のニーズを考えた柔軟な対応が求められるでしょう。食を通じて人とのつながりや豊かさに触れられるのも、外食業界の魅力です。