就職活動をしているとspiという言葉を一度は耳にするはずです。spiは会社が求職者を選考する際の第一関門となるものであり、spiの出来不出来は採用に大きく影響します。spiで良い結果を残すことができると、安定して面接に進むことができるようになり、最終的に内定を勝ち取りやすくなるのです。今回はspiについて、対策方法もふまえて紹介します。

SPIとは

spiとは、株式会社リクルートマネジメントソリューションズが提供している適性検査です。日本で初めて提供された適性検査であり、企業の入社試験において高頻度で利用されています。また公務員試験の代わりとして自治体で利用されることもあります。


spiには知能指数や実務能力を測定する「能力検査」と、応募者の性格を判断する「性格検査」に分かれています。能力検査では、「言語」「非言語」の2つの分野から問題が作られています。


■■能力検査


以下は言語と非言語の具体的な問題例です。


■言語の問題の具定例(参照:洋泉社「これが本当のSPI3だ!2016年度版」)


・二語関係の問題

最初に提示された二語の関係を考え、同じ関係のものを選びなさい。

鉛筆:文房具


ア 万年筆:筆記

イ ペンチ:工具

ウ 文学:小説


A アだけ

B イだけ

C ウだけ

D アとイ

E アとウ

F イとウ


・熟語の意味の問題

下線部のことばと意味が最も合致するものを、AからEの中から1つ選びなさい。

自分だけひとり超然としていること


A 潔癖

B 孤立

C 崇高

D 孤高

E 独裁


■非言語の問題の具定例(参照:洋泉社「これが本当のSPI3だ!2016年度版」)


・整数の推測の問題

空欄に当てはまる数値を求めなさい。


〔問い〕2つの整数X、Yがある。XはYより28大きく、Yの2倍より6小さい。このときXは〔 〕である。


・順列・組み合わせの問題

空欄に当てはまる数値を求めなさい。


〔問い〕10gのおもりが2つ、50gのおもりが1つ、100gのおもりが2つある。天びんの片側だけにおもりをのせるとき、〔 〕通りの重さをはかることができる。


■■性格検査

spiの性格検査では、人物が内向的か外向的か、積極的か消極的か、どのような物事を重視する性格かなどを判断します。そのため、性格検査は教育機関の定期試験のように直前に対策をしたからといって、点数が伸びるといったものではありません。


あくまで採用する側の企業が、応募者が自社の業務を遂行するのに適しているか否かの判断材料とするものであるため、spiの結果が同じであっても、それをどのように評価するかは企業によって異なるためです。


しかし性格検査は約300問を35分で回答するものが多いです。1問あたり約7秒で回答する必要があるのです。そのため半ば直感的に回答する必要があり、全問回答が必須となります。以下は性格検査の具体例です。


■性格検査の例(参照:http://saisokuspi.com)

・ A.思いやりがないのはよくない VS B.不合理であるのはよくない

〔選択肢〕

Aに近い

どちらかといえばAに近い

どちらかといえばBに近い

Bに近い


・冗談をとく言うほうだ

〔選択肢〕

あてはまる

どちらかといえばあてはまる

どちらかといえばあてはまらない

あてはまらない


■■SPI以外の適性テスト

spiは11,900社で採用されている適性検査の代表的なものです。2016年度の実績で受験者数は189.2万人にものぼります。しかしながらspi以外にも適性検査は存在します。以下はspi以外の代表的な適性検査です。


・職業適性検査

・YG性格検査

・コンピューター職適性テスト


応募者の選考の際にどのような適性試験を施すかは企業の判断にゆだねられており、適性試験の結果をどのように評価するかも企業の裁量次第です。中には自社で作成した適性試験を応募者に回答させる企業も存在します。このように必ずしもspiだけが就職活動時の適性試験ではない点に注意してください。

応募しようとしている企業がどのような適性試験を課してくるかは、インターネットやob訪問を活用して事前に知っておきましょう。

SPIに落ちても落ち込まないで!

■性格検査の結果に関する評価は企業により千差万別

上述したとおり、spiの結果については必ずしもすべての企業で共通した評価基準を設けているわけではありません。能力検査については正解と不正解が明確に存在するため一律の基準で評価されることも多くなっていますが、性格検査については結果をどのように評価するかは企業により千差万別となっています。

それこそ営業職であれば極性や外向性が高く評価されることが予想されますし、企画職であれば自分の中でアイディアを練り上げる力という意味で内向性が高く評価されることがあります。一方で営業職の採用であっても、すでに社内に積極的で外交的な人材が豊富な場合は、多様性の実現のために社内人材とは違った個性を持つ営業職を新しく採用しようと考えるかもしれません。

このように性格検査は企業がどのような人材を獲得していこうと考えるかによって、評価が一律ではないのです。また能力検査の結果と性格検査の結果をどの程度の比重で選考に利用するかも、企業により異なります。


■性格検査だけで人物を把握することはできない

性格検査について、約300問の質問に回答させたからといって応募者の人となりや性格の全てを的確に把握することはできません。企業の側からすると、spiの性格検査の段階では是非とも会社に欲しい人材と考えていた人が、面接で話してみると全く違う印象だったということも少なくありません。

また応募者としてもなるべく応募先の企業に良い評価をされる回答をしようとする意識が働くため、応募者本人の性格がそのまま性格検査の結果に表れないことも多いのです。


■SPIに落ちても落ち込まないで!

このようにspiは多くの企業に利用されている適性試験ではありますが、その結果をどのように利用するかは企業により異なります。そのため、spiに落ちたからといっていちいち落胆する必要はありません。spiは自分と企業の相性診断のようなものと割り切って、就職活動を進める必要があります。

とはいえ受かりたい!対策方法とは!

■能力検査について徹底した対策をしよう

spiに落ちても落胆する必要はないと述べましたが、そうは言ってもspiが多くの企業に利用されていることは事実です。入社したいと強く願っている会社がある場合、spi一つであっても力を抜きたくないと考えている人は多いでしょう。


その場合は、spiの能力検査についての対策を徹底することをおすすめします。前述もしましたが、能力検査は正解と不正解が明確に存在するため、多くの企業に共通する得点の良し悪しが存在し得るためです。また能力検査は知能指数を図る基準となり、それは実務能力の高さを知る基準ともなります。


会社としてもなるべく実務能力が高い人材を獲得したいというニーズがあるため、能力検査の対策は最終的な合格に結び付くことが多くなります。このため、spiの対策をする場合は、主に能力検査についての対策を徹底しましょう。


性格検査については、ob訪問などを利用して採用される人材に共通する特徴を聞き出し、それに沿った印象の回答をするといった方法も考えられます。しかし、小手先の回答をすることで性格検査全体の印象がちぐはぐになり、本心から回答をしていないと評価されるデメリットも存在します。


■おすすめの問題集

・【主要3方式〈テストセンター・ペーパー・WEBテスティング〉対応】これが本当のSPI3だ! 

・史上最強SPI&テストセンター超実戦問題集

・SPI3「構造的把握力検査」攻略ハンドブック


問題集を解く場合は、同じ問題集を2~3周する方法がおすすめです。そして、その後に新しい問題集に着手しましょう。同時に解く問題集を増やすと、結局すべての分野を網羅的に学習することができなくなる恐れがあります。


またspi対策は限られた時間で効率的に行うことが求められます。そのため、解いた問題については以下の分類を行い、B以下のものを重点的に繰り返し解くように心がけましょう。AからDで問題を色分けしておくのもおすすめです。


A 正解できたし、正解の理由も完璧に理解している

B 正解はできたが、他の選択肢と迷った

C 正解できなかったが、選択肢を2~3つにしぼることができた

D 正解できず、選択肢をしぼることもできなかった


上記のように1つの問題に対して、自分がどの程度太刀打ちできたかを明確にしておくことで、復習が効果的にできるようになります。


まとめ

以上のようにspiは多くの企業が採用の際に取り入れている適性試験です。しかしながら、spiの結果を選考の過程でどのような形で取り入れるか、どのような比重で取り入れるかは企業により異なります。そのため応募者がどんなにspi対策を行っても、それに対して企業が良い評価をしてくれるかは一概には言うことができないのが現状です。

つまり応募者としてはspiで落ちても大きく落ち込む必要はなく、前向きに就職活動を進めていく姿勢が求められるのです。そのうえでspiについても抜かりなく対策を施していこうとするのであれば、能力検査についての対策を徹底してください。

エントリーシートの作成、志望動機や自己PRの練り込み、面接対策にも多くの時間を割く必要がある就職活動においては、spiに割くことのできる時間は限られています。自己学習した能力検査の結果を分類し、効率的に学習を進めていきましょう。