出版業界へ就職を希望している方のために、出版業界の現状と今後の将来性についてまとめました。これから就職活動をするという方は参考にしてみてください。




出版業界の現状

出版業界の平成27−28年度の市場規模は1兆0515億円でした。順調な業績の伸びを見せている出版業界ですが、解決しなければいけない課題はいくつもあります。ここでは出版業界が抱えている問題のいくつかを紹介したいと思います。

まずはじめに挙げられるのが「雑誌の売上低迷」です。
出版業界自体、発行部数の減少傾向にありますが、特に著しく減少しているのが「雑誌」です。スマホやタブレットで雑誌が読めるようになったということが売上低迷の原因の一つです。年々減少していっている雑誌の売上を回復させることを目指すということと、同時に売上が上がっている「コミックス」を好調に伸ばしていくことで雑誌の売上低迷問題の解決をはかることが必要です。

次に課題として挙げられるのが「出版業界の柔軟性の無さ」です。現在は様々なデジタルコンテンツで情報を得ることが可能となりました。スマホやタブレットですぐに情報を確認できるということが当たり前になってきていますよね。
デジタルコンテンツの場合は情報の変更、書き換えなどがタイムリーにできますが、出版される発行物に関しては一度発行してしまうと融通がききません。また、途中で内容の変更ができないのが欠点です。こういった欠点が最近の時代の流れの中で顕著に現れています。この課題を解決するためにも、出版業界ならではの新たなコンテンツの開発を行なっていく必要があります。

最後に挙げられるのが「電子書籍の売上低迷」です。上述した通り、柔軟性がない出版業界が新たに打ち出したビジネスモデルが「電子書籍」だったわけですが、思ったほどの需要が無く売上が低迷しています。出版物の売上低迷の救いの一手になるかと思われた電子書籍の売上低迷は、出版業界にとって大きな打撃であると言えます。デジタルコンテンツが人気を博しているこの時代に、電子書籍の魅力を最大限に表現できることが今後の課題と言えます。


出版業界の今後 

紙媒体の出版物が売上低迷している出版業界ですが、今後はどのようになっていくのでしょうか。順番に見ていきましょう。

まず、電子書籍の売上低迷が改善する兆しは電子版コミックスの売り上げ強化が鍵となりそうです。コミックスは幅広い世代から需要があり、デジタルコンテンツを利用する機会が多い世代からの需要を狙っていくことになるでしょう。今では小さな子供でもスマホやタブレットを使うようになっていますので、若年層に向けたコンテンツが充実してきそうです。

また、販売までの流通の仕方にも変化がありそうです。2017年にアマゾンが出版社と直接やり取りをするという販売方法を開始しました。これは「取次業者がいらない販売方法」という風にも考えられ、今まさに業態の変革が起きようとしています。この販売方法が主流になってしまうと、取次会社の立場が危うくなってくるという問題が出てきます。

業態改革に加えて、委託販売や再販に頼らないビジネスモデルが確立し始めていることによって、致命傷を負ってるジャンルがあります。それが「雑誌」です。委託制度を活用している書店は売れなかった雑誌を返品することができますが、委託制度を採用しない書店の場合はそれができません。ですから書店は雑誌を不良在庫として抱えてしまうことになるわけです。ここ最近は紙媒体雑誌の売上が悪いので、委託制度を採用していない書店はかなりの不良在庫を抱えていくことになります。今後こうした動きが進行していくことが大いに考えられます。


「出版業界で働く」とは



ここでは出版業界の職種と仕事内容を紹介していきます。
出版業界には大きく分けて7つの職種があります。

①経営・企画
経営・企画は出版業界で生き残っていくための経営戦略や事業方針を立てる職種です。企業の中心的な職種と言えます。流行を追い続けなければいけない出版業界で事業計画を立てていくということは責任重大ではありますが、やりがいのある仕事であると言えます。

②人事
出版業界の人事は新卒者、中途採用者の管理や各職種への採用手配、人事評価といったことを仕事としています。人事は基本的には企業内の人との関わりが多い職種です。企業内の人材を育てていくということが魅力であるといえます。

③総務
総務は企業の一般的事務を行う職種です。そのほかにも庶務、法務も兼任して行うことがあります。主に手続きや手配を行うので、サポート役として活躍できるのがやりがいといえます。

④経理・財務
経理・財務は企業のお金を扱う職種です。経費の管理、資金調達や資産の運用をすることで企業に貢献をすることができます。

⑤製作
製作は出版物の企画と立案、そして製作を行う職種です。製作段階では内容編集やデザイン編集をするほか、外注に依頼をかけたりもします。また、校閲も製作が手がけます。原稿を厳密にチェックし、誤りがないか確認をします。企業の顔である「出版物」が出来上がるまでの過程を手がけることができることが魅力だといえます。

⑥編集
編集は主に書籍の執筆依頼や作家さんとの打ち合わせ、企画の立案からスケジュール管理、原稿チェックなどを行う職種です。時には各職種の調整役にまわることもあります。出版物が形になる手前の「基礎」を手がけることができます。

⑦営業・販売促進
営業・販売促進は出版物を販売してくれる書店や出版の取次会社に紹介をしにいく職種です。自社の出版物を世に広める重要な役目を担っているとも言えます。


出版業界 売上げ企業ランキング

ここでは出版業界のなかで売上の高い企業TOP10をランキング形式で並べてみたいと思います。

1位 ベネッセHD 4,441億円
2位 カドカワ 2,009億円
3位 ぴあ 1,386億円
4位 学研HD 959億円
5位 ゼンリン 549億円
6位 プロトコーポレーション 542億円
7位 昭文社 130億円
8位 クイック 124億円
9位 サイネックス 119億円
10位 文溪堂 114億円

1位のベネッセHDが圧倒的な売上を記録しました。ベネッセHDは子供向けの教材の販売をしていることで有名な企業です。進学に向けての本格的な準備を行おうとする家庭が非常に多くなり、学習教材が多く売れたことが原因の一つに挙げられます。

2位のカドカワは特にコミックスが好調な売上をして2位という結果になりました。1位のベネッセHDがかなり高い売上を上げているので目立ちにくくなっていますが、カドカワもかなりの売上高を記録しています。

3位のぴあに関してはコミックスや韓流系の雑誌の売れ行きが好調で順位が上がりました。電子書籍にも力を入れていく傾向が見られるので、今後の成長にもさらなる期待が持てます。

まとめ

今回は出版業界の現状と今後の将来性について解説をしていきました。参考になりましたでしょうか。紙媒体から電子書籍への転換が課題化される出版業界ですが、読み物の需要が無くなるということは考えにくく、今後の発展も大いに期待できます。時代の流れがオンラインやインターネットの方向へ向かっていっていることも出版業界にとっては追い風であると言えます。出版業界へ就職活動を進めようとしている方は念入りに研究をして臨んでみてください。