これから就職活動を行う学生にとって企業研究は、自己分析やSPI対策と同様に重要となってきます。その企業がどのような事業を行っているのか、業界でどのあたりに位置するのか、そしてどのような学生を求めているのかなど、企業のことを把握したうえで、自分自身がどのような働き方ができるのかを考えていかなければいけません。

今回はCMでもお馴染みの三菱電機の企業研究として、事業内容や強み、求める人材像などについて解説していきます。



三菱電機の主な事業内容は?

三菱電機といえば、エアコンや掃除機などのCMを目にすることも多く、生活家電の印象が強い方も多いのではないでしょうか?生活家電事業も三菱電機の事業のひとつですが、他にもさまざまな事業を展開しています。



重電システム

重電システム事業からもさまざまな製品が開発されていますが、学生の方にとって身近な製品で言えば、エレベーターやエスカレーターなどが挙げられます。自宅のマンションや学校などのエレベーターメーカーをを見てみると、三菱電機グループであることが多いです。

三菱のエレベーターは、オフィスビルや商業施設からマンションなどの住宅まで、幅広く展開されています。代表的な製品は、全照明LED化で省エネ対策をしつつ、機能性やデザイン性にこだわった「AXIEZ(アクシーズ)」やオーダーメイドで作ってくれる「NEXCUBE」などがあります。

エスカレーターもエレベーター同様に、照明のLED化で環境対策にも配慮されつつ、乗り降りのしやすい機能性や安全面も追及した製品を開発しています。

産業メカトロニクス

産業用ロボットや製造現場の生産性や品質向上のための機器を全世界に提供している部門になります。身近な製品では、カーナビゲーションシステムも産業メカトロニクス部門の製品です。
三菱電機の部門別売上で一番の割合を占め、利益率ももっとも高いこともあり、(2016年度)三菱電機の事業の中核を担っています。

情報通信システム

企業に情報システムの提供から運用管理を行っています。24時間365日専門エンジニアが監視運用を行うための総合運用管制センターを設置し、障害などのビジネスへの影響を最小限にとどめ、安定稼働を実現してくれています。
宇宙事業も産業メカトロニクス部門になり、人工衛星の製造や運用を行っています。2017年時点で、約60機の人工衛星を製造してきたほか、人工衛星に搭載する機器の提供など560以上の衛星プログラムに参画しています。

電子デバイス

小型の半導体などを開発製造し、あらゆる製品の高性能化に寄与しています。SiCパワーモジュールを世界で初めて搭載したエアコンを製品化したのは三菱電機であり、最先端の技術で開発と製造を行っています。

家庭電器

みなさんにもっともなじみ深いのが、この家庭電器部門です。家庭用のエアコンや液晶テレビ、冷蔵庫、掃除機などなど、あらゆる生活家電を開発製造しています。「霧ヶ峰」でおなじみのエアコンなどの空調機器は、世界でも需要がある商品です。欧州や中国、北米などにも製品を提供しています。

競合と比較した三菱電機の強み

三菱電機の強みとして、古くから製品や技術を開発してきた技術資産と、多くの事業展開を行うことで、その技術を多方面に展開できる特性が挙げられます。
三菱電機では「技術とっ技術の組み合わせ」「事業と事業の組み合わせ」を行うことで、分野ごとの技術・製品開発にとどまらず、多岐に渡るニーズの対応やサービスの向上を目指しています。その点でみると、収益の安定だけにとどまらないので、収益改善や収益向上にも期待ができます。

また競合との事業競争化に向けて、開発投資、設備投資の継続投下も惜しんでいません。現状、強い事業を強化することはもとより、新たに継続的に強くなる事業を求めていく姿勢も三菱電機の特徴です。
その観点は社内だけでなく社外へ向けても同様で、2015年にはイタリアの空調メーカー、デルクリマを約900億円買収するなど、協業やM&Aにも積極的な一面が垣間見れます。

決算状況を見てみると、ROE(自己資本利益率)が高い面も三菱電機の強みでしょう。2017年度の他社とのROEを比較してみると、日立製作所が約8.1%、パナソニックが約9.1%に対し、三菱電機は約12.9%となっています。
(参考:「Yahoo!ファイナンス」https://finance.yahoo.co.jp/)

ROEが高いということは、株主が出資している資産を効率よく利益にしているということで、経営効率の良い企業ということになります。三菱電機では、継続していくべき経営指標に「ROE10%以上」と「借入金比率15%以下」を掲げており、事業の健全性を継続的に行いながら、新たな取り組みへチャレンジしています。

どのような学生を求めているか



三菱電機は3つの求める人材像を公式サイト(参考:http://www.mitsubishielectric.co.jp/saiyo/graduates/recruit/personality/index.html)で明記しています。それぞれの求める人材像について、事業構想や経営戦力の観点から解説していきます。


強い意志を持ち、自ら行動する人

三菱電機は事業構想の強化に向けて、技術シナジーと事業シナジーを発揮することで、新たな価値創出やサービス向上を図る企業です。そのためには、既存のサービスや技術にとどまらず、新たなことに向けて行動する人材を求めています。しかし、新しいことに取り組むことは根気が必要で、うまくいかないことの方が多いでしょう。そのためにも、強い意志をもって行動する人材が必要になります。

周囲と協働し、より大きな力を生み出す人

三菱電機は協業やM&Aにも積極的に取り組み、今後も取り組んでいく会社であることは先述した通りです。その点からも、求める人材像として周囲との協業と、それによって大きな力を生み出す人材を求めています。
個人の力やひとつの企業だけでは、限界があることを認識し、互いに力を合わせていくことで、事業の発展や困難の解決に立ち向かえる力が必要になります。

やりとげる責任感を持つ人

簡単なことではなく、新しい事業や困難な開発など厳しい状況下でも根気強く責任感をもって成し遂げる人材を求めています。三菱電機は、安定的で継続的な事業基盤を築きつつもコーポレートステートメントに「Changes for the better」を掲げ、実践し続ける企業です。

すなわち、新しいことに挑戦し続け、それを新たな基盤にしていこうといった企業体質も持っています。そのためには、やったこともないことやわからないことも多くあります。それらを完遂し、定着させていく事は非常に困難なことであり、大きな責任感と意思が必要になります。

まとめ

三菱電機は家庭電器のみでなく、世界のあらゆる分野において事業を展開している企業です。その多岐に渡る事業は、互いにシナジー効果を生み出すことで、新たな価値創出につなげています。高いROEを維持し続ける「安定」と新たな事業展開や協業・M&Aを行う「挑戦」を同時に行う、積極的かつ健全的な企業と言えます。身の回りの製品から三菱電機をの研究を始めた方も、他の事業や事業戦略、企業体質を深掘ることで、新たな企業の良さに気づくことができます。その良さと自分の特性がマッチするのか、どのような特徴が活かせるのかを考えてみてください。