就活では倍率のチェックも重要




大学受験で志望校の倍率をチェックしたように、就活でも企業の倍率チェックは重要なものです。学力レベルが同じで行きたい大学が2つあったとき、倍率が低い大学のほうが入りやすいですよね。大学の中でも学部や学科によって倍率が違い、学科よりも大学自体にこだわりがあれば、より入りやすい学科を受けたりするものです。

倍率とはつまり「人気」があり、人気に対して「枠」が狭いことで、倍率が高いほど競争相手が多く狭き門になってきます。就活に関しても同じで、人気のある企業は志望者が多く、「内定をもらうことが難しい」ということになります。もちろん人気企業は大規模なことが多く、内定者数もかなりの数になります。その年の内定者が3000名を超えたりするものもあります。

志望企業の倍率を知ることで行動計画を立てることができるため、倍率のチェックが重要なのです。

企業ごとの倍率については、『就活四季報』で確認することができます。見てみるとわかりますが、大学受験とは比べものにならない数値が出ています。
2017年度大学受験の志願倍率は、国公立大学が4.1倍、公立大学が6.2倍という数値が文部科学省から発表されています。東京芸術大学美術学部の11.8倍が最高のようです。私立では、明治大学で17倍という学科もありました。大学受験は高倍率でこの程度です。

就活の倍率とは、【応募者数】を【内定者数】で割ることで出てくる「内定倍率」です。
人気企業ともなれば、100倍、200倍といった倍率はざらにあり、過去には2000倍を超える倍率もあったほどです。
内定倍率100倍であれば、100人のうちのたった1人の割合でしか内定までたどりつかないわけですね。
就活は、エントリーするだけならお金もかかりません。大学受験は志願ごとに万単位のお金がかかる上に、学力によってある程度志望校が分散されるので、そこまで倍率が跳ね上がらないのです。
一方就活は、新卒者・既卒者であれば基本的に応募への制限はなく、何社でも好きなだけネットでエントリーできます。エントリー数が増えれば増えるほど、倍率は高くなっていきます。

企業ごとの倍率を知る前に、まず世の中には「有効求人倍率」というものがあります。これは【求人数】を【仕事を求めている人の数】で割ったものです。
現在100の仕事があるとして、求職者が200人いたら、有効求人倍率は0.5倍です。有効求人倍率は低いと求職者にとっては厳しい状況ということになります。逆に有効求人倍率が2倍の場合、1人につき2つの仕事があるということで求職者に嬉しい状況となるわけです。

リクルートワークスの調査によると、2018年卒の大卒求人倍率は「1.78倍」。1人につき1.78個の仕事があるので、こだわりさえなければ職は余るということになりますね。そういった有効求人倍率がありながら、就職がうまくいかない、内定が出ないというのは、一定の企業たちに志望が集中しているからです。

みんな目指す企業が似ていて、内定倍率が跳ね上がっているというのが就活の現状です。

高倍率な企業まとめ

ここでは高倍率の企業の一例をまとめています。データを出していない企業もありますので、ここに出ていない企業でも実際には高倍率な場合がありえます。


【食品メーカー】
明治(2750倍)、森永乳業(533倍)、味の素ゼネラルフーヅ(376倍)、ヤクルト本社(318倍)、カゴメ(308倍)、サントリー食品インターナショナル(275倍)、ハウス食品グループ(268倍)、味の素(267倍)、キーコーヒー(186倍)、アサヒビール(159倍)、昭和産業(144倍)、敷島製パン(143倍)

【化学メーカー】
帝人(303倍)、日本合成化学工業(298倍)、クラレ(250倍)、東レ(213倍)、三菱レイヨン(133倍)

【出版】
文溪堂(312倍)、KADOKAWA(191倍)

【広告・テレビ・メディア】
読売広告社(219倍)、東海テレビ(192倍)、WOWOW(192倍)、讀賣テレビ放送(181倍)、

(『就職四季報2016年版(総合版)』を参照)

高倍率な企業の特徴



高倍率な企業をご紹介しましたが、名前を聞いたことある企業が多かったのではないでしょうか。メーカー、出版、広告・テレビなどのメディア関係もやはり人気があり、狭き門となっているようです。

食品メーカーには高倍率のものが多いことも特徴です。食品は日常で慣れ親しんでいて、CMもたくさん放送しているので各メーカーの商品もよく知っていますよね。生活に欠かせないものだからこそ、動機形成がしやすいということもあげられるでしょう。
「食で人々の生活を支える」というのは就活で使い古された言葉ではありますが、やはり我々に欠かせない大切な仕事です。応募が集まるのも自然なことでしょう。

CMをしているメーカーは高倍率であるという特徴があります。名前は聞いたことあるけれど、実際にはどんな製品・サービスを扱っているのかわからない企業もあるかと思います。
それでも新卒サイトで企業名を見つけたらクリックして確認しにいってしまいますよね。そこで初めて事業を知り、興味を持って応募するなんていう流れもよくあります。

出版や広告、メディア関係はいつの時代も人気です。特に出版社はインターネットやスマホが普及したことで、書籍が売れないなんて話もあります。
そんななか、電子書籍の分野に力を入れたりしてまだまだ人気は健在なようです。出版関係が好きな人は、本が好きということで取次会社・書店などにも派生して応募したりするので、業界全体で人気・高倍率だったりします。

ここまで見てわかるように、高倍率求人は「知名度が高い」「身近」「規模が大きい」「B to Cビジネス」という特徴が挙げられます。就活を始める時には、働いていないのですから中小企業の名前やB to Bビジネスをしている企業を知らないですよね。新卒サイトで見つけても、どうしても有名企業、大企業からエントリーしていく人が多いようです。

逆に倍率が低いのが、飲食、小売、介護業界です。中途採用でも飲食店の求人は多いですし、介護は人が足りないというニュースを頻繁に見かけていると思います。

ここで気になるのが、飲食店は名のしれたものが多いですし、スーパーや薬局や家電量販店などの小売も消費者に向けていて身近なもののはずです。それなのに倍率が低いのはなぜでしょうか。

1つは「規模感」の違いではないでしょうか。食品メーカーも飲食もスーパーも、世の中の人に「食」を届けるという点では一緒です。しかし、食品メーカーが日本中の人に向けたものだとすると、飲食店やスーパーは地域の人に向けていると言えます。自らの仕事によって及ぼす影響の範囲が、広いのか狭いのかを気にしているように感じます。そうなると、志望動機が形成しにくかったりするようです。店舗数が多くて人をたくさん必要とするため、倍率的には低くなるという点もありますね。
また、倍率が低い企業は、一概には言えませんが離職率が高かったりします。労働環境、給与など企業によって原因は様々ありますので、人が足りなくてこまっているところが多いです。

就活前に知っておきたい!インターンで資格取得できるって本当?!

まとめ

新卒採用における倍率を見てきました。

知名度だけで倍率が決まるものでもないですし、倍率の高い低いで良い企業かどうかの判断はできません。
業界内では有名でも、学生への知名度が低いために倍率も低めになっている優良企業がたくさんあります。
ただ内定倍率はどこも高く、大学受験のような感覚では驚いてしまうほどです。志望企業の倍率が高いことを知っていれば、力の入れ方や行動計画にも影響してくるでしょう。

ですが倍率だけに惑わされずに、自身の志望する業界や企業の選考に向けて取り組んでみてはいかがでしょうか。

未経験者歓迎の長期・有給インターン一覧はこちら!