学生時代に就労経験を積む機会として「長期インターン」が注目されています。就職活動を前に実務経験を積むことができるため、学生にとって大きな成長機会になるからです。


一方企業側にとっても、優秀な学生と接点を持てる機会としての認知が広がり始めました。中長期のスパンで働いてもらうことができるので、自社の業務やカルチャーを知ってもらうことが可能になり、新卒採用活動の一環として導入する企業が増えているようです。


今回の記事では、年間100人の長期インターンの学生採用に取り組んでいる当社サイトからの入社数が多い人気企業・Donutsさんにお話を伺いました。


—— 長期インターンを導入した理由について、お伺いさせてください。


新卒採用が売り手市場化しており、一人当たりの採用単価が高騰しています。そうした状況下で従来の採用活動を行なった場合、優秀層の学生の採用に必要な一人当たりの採用費が増幅すると考えています。そこで、通年採用型の長期インターンシップを開始することで、他社よりも先行して優秀層の学生と接点を持つ機会を作り、採用に繋げるプログラムを開始しました。


当社のインターンシップは6ヶ月間のプログラムとなっており、週18時間以上の勤務を条件に採用しています。毎月の評価制度を運用し、実績の大きさに応じてグレードと時給を上げています。一定のグレードに到達したメンバーには、3年間有効の内定パスを渡しています。



—— 長期インターンでは、魅力的な人材を採用することができましたか。


魅力的な経験を持っている人材の採用はもちろん行なっていますが、それに加えて、過去の経験だけでなくこれからの伸び代にも注目して採用しています。当社では、規模の大小問わずどんな仕事でも、それをやり遂げられるメンバーには、雇用形態に関わらず任せていく文化があります。過去を遡ると、当社のヒットプロダクトである「暴走列伝 単車の虎」や「ジョブカン」も、開発初期にはインターンメンバーがメインの実装に関わっていました。「学生だからここまでしかできない。」といった固定概念を持っていないからこそ、挑戦する機会を積極的に提供しています。入社時は目立った経験を持っていなかった学生が、与えられた挑戦をやり遂げることにより、開花する場面を何度も目にしてきました。そして、周囲のメンバーがそれに感化され、お互いに切磋琢磨しながら活躍する連鎖反応を起こし、魅力的なメンバーで溢れるコミュニティを作り上げている最中です。



—— 長期インターン採用から新卒採用に成功した事例はありますか。


年によって数のばらつきはありますが、インターンシップを経験したメンバーの入社事例はコンスタントに発生しています。それらのメンバーは、当社の文化を理解しているため、エンゲージメントが非常に高い状態で入社してきます。

今期に関しては、前述したプログラムに沿って運用しており、既に内定パス獲得者が発生している状態です。


—— どのようにして、長期インターン採用から新卒採用につなげているのでしょうか。


インターンメンバーが、インターン先の企業にそのまま入社する最大の決め手は、人や環境の魅力と熱量だと考えています。当社では、インターンメンバーが経営陣と関わる機会を積極的に作っていますが、それだけでは不十分なのではないかと直近で考え始めました。

普段業務上で関わる機会が少ない経営陣よりも近い距離で働き、自分の業務や成果を最も理解した先輩社員からもオファーを受けることが、より心を動かされやすいのではないかと考えています。



—— 長期インターン経由の新卒採用と、いわゆる新卒採用や中途採用の違いはありますか。


新卒採用で入社したメンバーには、会社のカルチャーを体現する立場として、会社の未来を築き上げる存在となることを期待して採用しています。

長期インターン経由で入社したメンバーの特徴として、会社への理解度が高いことから、入社後早期に周囲のメンバーを引率する立場として活躍するケースが多く見受けられています。当然ながら、入社前に企業文化を理解していることから、ミスマッチはまず起きない採用だと捉えています。


—— 長期インターン採用にデメリットはありますか?


良くも悪くも会社の内情が伝わることで、インターンメンバーの入社意欲に影響がでる可能性は大いにあり得ます。それを防ぐためにも、採用担当者だけでなく、社内の全メンバーに対して、インターンメンバーに対する魅力付を意識させることが重要です。

また、教育コストが発生することは否めません。当社では、定期的に学生を審査し、サポートが必要なメンバーへのフィードバックを人事より行うことで、現場の負担を軽減する運用を実施しています。