最近仮想通貨がまた話題になっていますね。その手軽さからいまや多くの学生が手を出している仮想通貨ですが、正しい知識を持っていると自信を持って答えられない人もいるのではないでしょうか。そんな人にオススメなのが、東大生が集結して皆が知りたい仮想通貨の情報を提供してくれる仮想通貨メディア、CoinOtaku(コインオタク)

つい先日は1400以上の仮想通貨のイベントをまとめているサービス”CoinKoyomi(コインコヨミ)”をリリース1日に2万人以上のユーザーが当サイトを利用している。


創設メンバーの下山明彦さんは過去にビジネスプランコンテストや投資コンテストで素晴らしい成績を収めている、通貨に精通したいわば’通貨オタク’です。今回はそんな通貨オタクの下山さんにインタビューしました。

“就活に弱い学部“は言い訳である 学部間格差は個人の能力でカバーせよ

ーー今の東大生はやはり起業家とかも多いんですか?

僕の代で起業している学生はほとんどいないです。東大生で人気なのはやはり外資コンサルとかでしょうか。実際起業って難しいですよね。学生たちも日本に対して「実際お金を出してくれるわけではないよね」とか「失敗したときに助けてくれるような国じゃないよね」といったイメージがあるので。1度失敗しても大丈夫な状態にしてから起業をしようと考えている人も多いのではないでしょうか。僕もたまたま縁があって起業をしただけですし、いつ起業をするかはそれほど重要ではないと思っています。ですが、周囲の人が成功をしているのをみて「あいつでも上手くやれるんじゃん。じゃあ自分もしてみようかな」といった具合に起業家が増えていけば面白いですね。


ーーいま東大で一番人気なのは文系だと法学部と経済学部ですよね。その中でどうして文学部の宗教学科を選んだんですか?

文科1類は法学部にいくための学部といっても過言ではないので、僕自身も最初は法学部に行こうと思っていました。ですが文学部には、法学部以上に自分にとっての学問的魅力がたくさんあったんです。

また、法学部や経済学部の人気の理由の1つとして世間的なネームバリューやマーケットバリューがあることが挙げられると思いますが、僕は自分の経歴を踏まえれば文学部卒であることはハンディキャップにならないと判断しました。今まで育んできた自身の能力や、積み上げてきた成果で学部に対するイメージはカバーできると思ったんです。

「これは余裕でいける」 起業と同時に描けた成功までの道のり

ーー今までのご自身の努力が自身の糧になったんですね。下山さんが残した成績の中に、ビジネスプランコンテストでの優勝がありますよね。コンテストに出場しようと思ったきっかけはなんですか?

きっかけの根源となったのは、以前所属していた、ハーバード大学の学生と国際問題について議論を交わす学生団体です。そこで議論を重ねるうちに、自分の発言が「実体験を伴わない、教科書の受け売り」であることに違和感を感じ始めました。それなら実体験をしてみようと、発展途上国で教育関係のボランティアに参加することにしたんです。


発展途上国の実情を目の当たりにした結果、もっとマクロな視点で問題解決をしたいと思うようになりました。ですが、いち学生がいきなり大きな問題に取り掛かるのはあまり現実的とは言えません。そこで、手始めにコンテストへ出場し、まずは自分にできることに取り組もうと考えたんです。


ーー今起業している身として振り返って、ビジネスプランコンテストから実際のビジネスに結びついた経験はありましたか?

実際のビジネスには具体性が不可欠であることを痛感しています。ビジネスプランコンテストの価値基準はプランが持つ夢や引き起こす結果に秘められている可能性に置かれていて、そのプランをいつ、どうやって実現するかまでは問われないんですよ。逆に言えば、僕が今会社で行っている事業をコンテストで発表したとしても絶対に優勝できなかったと思います。

また、どのようなチームで取り組むかがいかに大切かを知りました。優秀な人とタッグを組めたことが、コンテストで結果を残せた理由の1つです。

今の会社に関しても、関戸とタッグを組んだことはもちろん、メディアに知見のある投資家の方や他のメディア事業の経営者の方々がサポーティブであることが非常にプラスに働いています。それぞれの特性や知識を活かすことで、事業の効率もクオリティもあがります。正直な話、起業の話が持ち上がったとき、「あ、これ余裕でいけそうだ」と思ったんですよね。成功までの過程にそれぞれ詳しい人がいて、明確なビジョンが見えたんです。


ーーお互いの力を活かせる相手とチームを組むことが大切なんですね。今提供しているサービス、コインオタクはどのように始まったんですか?

初めは僕と関戸(共同創業者:東大生)と2人で始めたサービスです。コインオタクの話が出るまで、僕と関戸はいわゆる英語の授業が同じの“よっ友“程度の関係でした。ところがある日、当時メディア系の会社でインターンをしていた関戸から「メディア関係の会社を作ろう」と誘われたんです。ビジネスプランコンテストや投資コンテストの実績もありましたし、授業中に僕が仮想通貨のトレードをしているのを見た関戸は「こいつ、仮想通貨に詳しいんだ。」と感じ、誘ってくれたようです。

一方、僕は関戸から誘われる直前まで、ワークスアプリケーションズで1か月のインターンをしていました。というのも、ビジネスプランコンテストでの優勝を経て「理想を語るビジネスプランコンテストだけでなく、実際のビジネスで自分がどれだけの力を発揮できるのか」が気になって。結果的にそのインターンで最優秀賞をいただき、特典としてシリコンバレーへ連れていただきました。これが関戸から起業のお誘いを受ける前日だったのですが、ちょうどこの日に僕も「起業したいな」とぼんやり考えていたので、何かの縁を感じましたね。

目指すはオタク!  出し惜しみをしない優しいメディア、CoinOtaku(コインオタク)

ーーCoinOtaku(コインオタク)はどのような事業を展開しているんですか?

基本的にはSEOメディアですが、それだけには留まりません。今はエンジニアがシステムトレードを作っており、そこでICOコンサルやマーケティングもしようと考えています。当面はメディア会社ですが、学生が仮想通貨を使って何かをしていると大人が集まってきやすいので、ゆくゆくはその人たちと何か事業をやるかもしれないですね。

以前僕が出場した投資コンテストは、株や債券を使い2か月で資金の増額率を競うコンテストで、そこのパフォーマンスで日本一になったんですよね。そうやって昔から投資と触れ合ってきて、そのメカニズムや実態を学んできて思うんですが、今の仮想通貨って全然教育的じゃないんですよ。例えばどの通貨があがるかといった情報だけが先行しているけれど、買った通貨の実態は分からないままの人が多いじゃないですか。そのような世間の流れに逆行して、自分が買った通貨がどんな通貨なのかをきちんと教えられるメディアになりたいと思っています。

「コインオタク」の名前に入っている「オタク」は何でも知ってるじゃないですか。それを出し惜しみせずにいくらでも教えてくれる優しさも持ち合わせている。僕らの強みは仮想通貨に興味を持つ東大生2~30人が集まっている点です。利益だけを求めるメディアではなく、僕らが仮想通貨についてきちんと学んで、その仕組みを教えるシステムは、コインオタクのポリシーとして絶対に貫きたいです。

あと、興味がある人は一緒に働きたいので僕のTwitter などで連絡して欲しいです!



ーー仮想通貨が今の若者から支持されている理由はなんだとおもいますか?

まずは、一定数普通に仮想通貨を面白いと感じている層がいることでしょうか。そして仮想通貨の面白さに気づくには、昔からインターネットに触れていて、仮想通貨で何ができるのか、それがどれくらいすごいのかを感覚的に分かる必要があると思うんです。だからネット世代である今の若者にとっては魅力的に映るんだと思います。

もう1つ投資を始めて思ったのは、株は増えにくいんですよ。誰も気づいていない中小企業の株を買って増える確率は仮想通貨よりも全然少ない。かといって、そこにレバレッジをかければ仮想通貨以上の借金のリスクができてしまいますよね。そうなったときに一般的な学生が本当に自分の満足のいく倍率でお金を増やすには仮想通貨が相当魅力的なんだと思います。それが投機的な側面で人気が出る理由ですね。


仮想通貨は元来送金手段としてだったり、投機以外の機能に注目されていたんですよ。それが、近年の仮想通貨を取り巻く事業の中で「取引所」というビジネスモデルが大半を占めていることもあって、投機的な側面ばかりに着目されていました。最近では僕が相談を受けている企業の中には、ブロックチェーンを導入したいと言っている企業もいます。しかも上場している企業などもあったりして。そのようなニーズに対するコンサルなどのサービスも着々とできていて、段々実際のビジネスに導入できる形になっているので、これからは投機的な側面以外でも注目されていくかもしれないですね。

東大生のプライドをかけて ワークスのインターンで試した自分の本当のチカラ

ーー話は少し戻りますが、ワークスのインターンはどのようなプログラムでしたか?

例えばあるクライアントに対して最適なソフトウェアを設計図から作って、実際にプログラムで実装してフィードバックをもらうといった、実践型インターンでした。このインターンに参加したことは自分にとって非常に良かったと感じています。というのも、東大生は知名度はあるし東大生としてのプライドはあるけど外部の人と勝負する機会がすごく少ないんです。今まで社会においてどれくらいの価値をだせるかというベクトルで勝負することがあんまりなかったので「一度そういうベクトルでぼこぼこにされるといいよ」と言われていました。実際のビジネスでは全然聞いたことのない大学の人がすごい仕事をできる可能性もあるわけで、全国各地から学生が集まっている環境はとても良い経験になりました。


僕の場合一年生のときはやりたいことがありませんでした。ただ漠然と「このまま過ごすのもヤバい」と感じていたので、参加してよかったです。普通に就活するにしても、どれくらい自分が優秀なのかとか、何が向いているのかを考える機会は早いうちからあったほうがいいと思います。インターンもそのための手段の1つとして捉えるといいんじゃないでしょうか。

ーー長期インターンや起業を踏まえて将来の展望は?

もともと起業とをしたのって自分が超お金持ちになったらどうするのかが気になっていたからなんですよ。よくキャリアを考える会とかで「明日死ぬなら何をするか」や「10億円を持ったら何をするか」といった問いかけを投げられることがあるじゃないですか。どちらも普通はパっと聞かれて答えられるものじゃないと思うんですけど、スティーブジョブスはそれに答えたって話が有名じゃないですか。それは多分実際にがんを宣告されたという実体験があるからだと思ったんです。それと同じで、実際に1億とか2億とかを持つ体験をしたときに何をしようかを考えてみようと思いました。

だけど実際にビジネスを始めると、与えられる影響は想像以上に大きいし、めちゃくちゃ面白いんですよ。収益性以上に、自分が面白いと思う且つほかの人がやらなそうなことを追求していきたいです。そしていつかは(僕はこれを「遊びビジネス」という言葉で表現しています)もともと宗教学科でやりたかった「死について考えて、それから生について考えること」とビジネスをつなげてみたりしてみたいです。それまでにある程度の資本力を積み上げて、その資本を遊びビジネスにも投下していきたいと考えています。