インフラ業界は安定していて高給だと言われており、就活生にも人気のある業界です。そのようなインフラ業界の中でも鉄道インフラ企業としてJR東海と人気を二分するのがJR東日本です。ここではJR東日本について就活生が知っておくべき情報についてまとめています。

JR東日本の企業概要

JR東日本は東証一部に上場している日本の鉄道会社で1987年の国鉄民営化に伴って設立された会社です。この時にJR西日本、JR東海、JR九州、JR北海道なども合わせて誕生しています。JR東日本はJR各社の中でも東は青森、西は静岡までを商圏とする会社で1日当たり約1700万人が利用としていると巨大な鉄道会社です。そのため、JR各社でも最大の売り上げを誇っており、2017年3月期決算によると、売上約2兆700億円、純利益約2430億円となっています。

ちなみに、東京という巨大な都市圏を商圏にしているために,JR東日本が圧倒的に利益を出しているように思えますが、実は鉄道各社で一番利益を出しているのは利益率の高い新幹線による収益の多いJR東海で売上約1兆7600億円に対して、純利益約3930億円を生み出しています。

このよう純利益では一番とはなりませんが、それでもJR東日本が鉄道事業によって安定的に巨大な利益を生み出している事には変わりはありません。JR東日本は鉄道で生み出される安定した利益を元に、鉄道事業だけではなく、不動産、飲食、小売、広告代理店、人材派遣など様々な事業を展開しており、JR東日本グループとしては連結売上約2兆8800億円、経常利益約4120億円となっています。

職種と年収は?人気の理由とは?

JR東日本に限らず、鉄度やガス、電気などのいわゆるインフラ業界は業績が安定しており、高待遇で働けて、公務員のように倒産したり業績不振によって解雇されたりという心配がほとんどないというイメージがあるので就活においても人気の高い業界の一つです。特にJR東日本は東京という巨大な都市圏のインフラであるために鉄道会社の中でも更に人気のある企業だと言えます。東洋経済の発表した2018年卒の「就職人気ランキング」トップ300社によると、JR東日本は全業種のランキングで36位、学情の就職人気企業ランキングでは総合27位となっています。鉄道業界ではJR東日本とJR東海が人気を二分していると言えます。

JR東日本の平均年収は700万円前後で推移しています。公務員と大手メーカーのちょうど中間位の給与です。現場の作業員の年収も平均年収に含まれるので大卒の正社員だけで平均をとると平均年収はもう少しあがると考えられます。順調に出世すれば40歳を過ぎたあたりで課長クラスまで出世していれば年収1000万円を超えると考えられます。比較的年功序列の要素が強い会社のためにきちんと働いてさえいれば年齢に応じて出世はしやすいと考えられます。

採用コースにはポテンシャル採用とプロフェッショナル採用の2パターンがあります。いわゆる総合職はポテンシャル採用の方で全エリアに対して転勤の可能性があり、プロフェッショナル採用は一般職や地域総合職のようなコースで基本的に同じエリアで勤務し続けます。それぞれ応募資格が異なり、ポテンシャル採用は大卒以上、プロフェッショナル採用は高卒以上が応募資格となっています。

また、ポテンシャル採用は更に、「営業・事業企画」「列車制御システム・エネルギー・情報通信」「輸送・車両・機械」「保線・土木・建設」「建築」「IT・情報システム」のいずれかを選択して応募する事になっています。プロフェッショナル採用は「駅・乗務員」「列車制御システム・エネルギー・情報通信」「車両・機械」「保線・土木・建設」「建築」のいずれかを選択して応募する事になっています。

ポテンシャル採用とプロフェショナル採用を比較すると、プロフェッショナル採用は出世のスピードも年収の伸び方も、ポテンシャル採用と比較すると相対的に低いと考えられます。ポテンシャル採用で就職するメリットはありますが、大卒でわざわざプロフェッショナル採用を目指す位ならば業界や会社に思い入れがないのなら公務員や大手メーカーを目指した方が良いかもしれません。

ポテンシャル採用とプロフェッショナル採用で求められる人材とは

ポテンシャル採用とプロフェッショナル採用では求められる人材像が違うので注意してください。

ポテンシャル採用では以下の3つが求められています。
・高い専門能力を持ちながらも、変革を恐れることなく、いかなる環境にも対応できる柔軟な思考力。
・自ら課題を設定し、社内外のさまざまな関係者と調整を行いながら、プロジェクトをマネジメントし、目標を達成する能力。
・新たな領域に自ら進んで挑戦し、JR東日本グループの無限の可能性を率先して追い求める熱い探究心。

一方でプロフェッショナル採用では以下の3つが求められています。
・「究極の安全」の追求や「サービス品質」の向上に向けた不断の努力。
・さまざまな関係者と協力関係を築き、鉄道事業を支える技術を継承するとともに、より良く改善していこうとする行動力。
・視野を広げて、新たな領域にも積極的に挑戦する意欲。

端的に言えばポテンシャル採用ではチームやプロジェクトをマネジメントして新しいビジネスを創出できる人材、プロフェッショナル採用では既存のビジネスを正確に行い、現場を改善できる人材が求められているという事ができます。

新卒採用の選考フロー

ポテンシャル採用とプロフェッショナル採用で選考が分かれていますが基本的な選考フローは同様です。プレエントリーを行ってからどちらかのコースを選択してエントリーシートを提出して適性検査を受検します。そして書類審査に合格するとグループディスカッションと面接を行い全部通過できれば内定となります。

また、書類選考を通過した後に、まずグループディスカッションがあるのですが、この後に本選考とは別にリクルーター面談が行われる事もあるようなので注意してください。

エントリーシートはオーソドックスで2017年には

・自己PRのタイトル(30字)
・自己PR(学生時代に力を入れてきたことなど)(400字)
・JR東日本の生活サービスだからこそ、あなたが実現したいことはなんですか。また、その実現のためにあなたのこれまでの経験をどのように活かしますか。(800字)

という設問が設定されていたようです。注意したいのは最後の質問で800文字と結構な分量になっていますし、企業研究と自己分析をしっかり行っていなければ良い回答ができないので、両方をきちんと行った方が良いでしょう。

グループディスカッションは、学生5,6人で面接官によって設定されたJR東日本が絡んだテーマについて話し合いを行い、結論を発表してフィードバックを受けるというもので所要時間は約1時間です。グループディスカッションの後には10分程度の軽い面接が用意されています。

面接は基本的にエントリーシートに基づいて行われ、エントリーシートに記載している事以外の質問も自己分析をきちんと行い準備していればそれほど答えるのは難しくないと考えられます。面接の回数はプロフェッショナル採用の方がポテンシャル採用よりも少ない傾向があると考えられます。

まとめ

以上のようにJR東日本について説明してきました。給料は安いけれども確実に倒産しない、整理解雇されない公務員と、給料は高いけれどもある程度倒産、整理解雇される可能性がある大手メーカーのちょうど中間的な存在で、そこそこの高給で安定して働けて倒産、整理解雇の恐れが少ないのがインフラ系の企業です。JR東日本は鉄道業界でもトップクラスの企業でJR東海と並んで就活生に人気の企業です。

採用コースはポテンシャル採用とプロフェッショナル採用に分かれていますが、ポテンシャルコースがいわゆる総合職、プロフェッショナル採用がいわゆる一般職、地域総合職的な位置づけになっています。プロフェッショナル採用の場合は相対的に出世スピードや年収の上り幅が少ないために、わざわざ大卒で本命として狙いに行くメリットは少ないと考えられます。応募する際はポテンシャル採用を狙いに行った方が良いでしょう。