大手求人サイトを利用したマス採用から、めぼしい人材にダイレクトでアタックするスカウト採用、さらに社員からの紹介でアプローチを行うリファラル採用まで、採用の形が多様化してきました。

売り手市場が続く昨今、自社に合う人材を獲得するのは至難の技。人事担当者からは「いい学生さん知りませんか?」という嘆きの声が聞こえてきます。

そんな採用氷河期の中、新卒採用のトピックスでホットになっているのが「インターン採用」です。長期インターンは優秀な学生と早期から接点を持つ機会になる上に、長期インターンを経た採用はミスマッチが少なく、早期離職を防ぐ採用方法として注目されています。

今回お話を伺ったのは、2018年7月に創業したスタートアップ・エナーバンク代表取締役社長の村中健一さんです。

エナーバンクは、長期インターンプラットフォーム「InfrA」を利用し、募集開始から10日間で10名の応募を獲得。経験豊富で優秀な長期インターン生を採用し、事業を成長させています。

創業半年のスタートアップは、いかにして採用活動を成功させたのでしょうか。InfrA導入に至る経緯から、採用活動が成功するまでの流れについて、詳しく語っていただきました。

実力のある大学4年生にアプローチ。スタートアップの採用戦略

—— エナーバンクさんは募集の公開から10日間で、10名の学生から応募があったそうですね。


株式会社エナーバンク代表取締役社長・村中健一さん

村中さん:年末の公開だったこともあり、「どの程度応募が集まるのかな?」と思っていましたが、公開してすぐに10名の応募がありました。そのうち5名は直接応募、残りの5名はスカウト機能(学生のプロフィールをチェックしてダイレクトメッセージを送る機能)を利用しています。

—— 公開から10日間で10名応募は、非常に高い数字です。何か戦略を立てられていたのでしょうか。

村中さん:ターゲットをしっかりと絞っていました。InfrAさんに登録している学生さんは、大学1年〜4年まで、所属校もさまざまだとお伺いしています。その中で、4年生に注目したのです。

—— 大学4年生にターゲットを絞った理由をお伺いできますか。

村中さん:新規サービス「 エネオク 」のBtoBのマーケティングをお任せするつもりだったので、ある程度の業界理解が必要だと考えていたからです。BtoCであれば、SNSを利用するなど、マーケティングがやりやすい。しかし、法人相手の仕事には、それなりの社会人スキルが必要になります。

就職活動を終えた4年生であれば、業界知識がある上に、インターン経験のある学生が多い。また、その分教育コストも抑えられます。

さらに弊社のフェーズは、営業戦略を2〜3ヶ月試行錯誤し、今後の動きを固める段階でした。すでに、ある程度実力のある学生さんを採用したいと考えていたので、4年生が適任だったのです。

—— なるほど。今回は、戦略が的中したんですね。そもそも、インターン採用をしようと考えた理由についてもお伺いさせてください。

村中さん:前職時代の同期が起業しており、彼の会社をお手伝いしにいったことがきっかけです。その会社は、学生インターンが多く、平均年齢が非常に若い。分からないことがあっても、“まずはやってみよう精神”が感じられ、「いい雰囲気の会社だな」と思いました。

インターン生が主体となって事業を推進していく彼らのスタイルは、弊社のフェーズにもあっていると感じたのです。

プロダクトが完成し、マーケティング調査を終え、これから走り出す段階。ただ、フルタイムで正社員を採用するキャパシティはまだない。そんなときに、業務委託に加え、スキルのある学生インターンを複数名採用することで、事業を加速させていけるのではないかと考えました。

先輩起業家がInfrAを推薦!短期から長期への“棚ぼた採用”も…

—— 長期インターン採用サービスは複数ありますが、「InfrA」をご利用いただいた理由についてもお伺いさせてください。



村中さん:起業をしたタイミングで先輩経営者の方にアドバイスをいただこうとご挨拶に伺った際に、InfrAさんをご紹介いただきました。その会社も学生インターンが事業を推進している企業で、InfrAさんから複数の長期インターンを採用していたのです。

—— サービスの比較検討はされましたか?

村中さん:もう1社ほど、資料請求をしています。そのご連絡をいただいて「早く求人を公開してください」といった催促があったのですが、忙しく、対応できなかったんです。

その後、InfrAさんを紹介していただいたのですが、求人公開まで全てを対応してくださるとのことで、導入を決めました。ヒアリングの時間を設けていただき、話したことをまとめ、スムーズに公開していただけて感謝しています。

もともと大学の後輩に声をかけて採用しようとも考えていましたが、年が10歳も離れていると、意外と難しくて。なので、採用コストも高くは感じませんでした。

—— 導入以前に考えていた、欲しい人材像に見合う学生を採用できましたか?

村中さん:長期インターンの採用経験がなかったので、正直なところ、採用したい学生像をしっかり描くことはできていなかったんです。どの程度まで求めていいか分からず、自分の過去を振り返り、最低限のリスクを取れる体制を整えていました。

ただ、採用した学生の皆さんは、期待していたラインを超えています。長期インターン経験のある学生が多く、ポテンシャルが高かったです。コンサル会社に就職予定の学生は、Web解析のスキルに関しては自分よりもスキルがありました。

あと、ありがたい“棚ぼた”もありました。4年生に絞って採用活動をしたところ、就職浪人中で長く勤務できる学生さんがいたのです。どのくらい続けてくれるかは分かりませんが、ある程度長い目で見れるので、伸び代も期待できます。


学生のポテンシャルは、事業をドライブさせる優れたソリューション

—— インターン中の、網野さんにもお話を聞かせてください。エナーバンクで長期インターンを始める以前も、インターン経験があったのでしょうか。



網野さん:過去に2社、長期インターン経験しています。1社が100名規模のベンチャー、もう一社がNPOです。

—— エナーバンクでインターンをすることを決めた理由について、お伺いさせてください。

網野さん:過去の長期インターン経験を踏まえて、決めました。大企業の方とお話ししたこともあったのですが、ベンチャー企業で働いている人の方がスキルが高く感じられ、自分が成長する環境としてベンチャー企業を選んだのです。

また、以前勤務していた企業は、それなりに規模が大きかったので、やることが決まりきっていたんです。ルーティーンワークが多く、僕が求めていた経験は得られませんでした。

そこで、まだ規模の小さいスタートアップで働こうと考えたのです。やることがしっかりと決まっていないからこそ、仮説検証を繰り返す経験ができるのではないかと。

また、来年度からロンドン大学で環境学を学ぶ予定なので、エネルギー事業を展開しているエナーバンクは僕にぴったりでした。

—— 働き始めてみて、成長を実感できていますか。

網野さん:まずはやってみて、フィードバックをもらい、改善していく…という一連の流れをスピーディに行えるので、成長を感じます。学問(研究)に重きを置いて学生生活を送ってきたのですが、そのサイクルに似ていて、楽しんで業務に従事できていますね。



—— 村中さんから見ても、網野さんの活躍は、事業の成長に寄与されていますか?

村中さん:もちろんです。インターン生が入社したことで、施策の数が圧倒的に増えました。

いいプロダクトをつくれている自信はあるので、どのようなアプローチが有効なのかを試したいと考えていて、そのためには施策の数を出すことが大事です。

インターン生たちが、「やってみよう」と積極的に取り組んでくれているので、とても助かっています。そして何より、彼らが成果を出していくのを見ていると、私も楽しくなりますね。

—— この経験を通じて、他社さんにもInfrAを紹介したいと思っていただけていますか?

村中さん:そうですね。フルタイムの社員を雇うのは時間がかかりますが、学生さんなら、募集から実際に走り出すまでの時間を短縮することができます。

また学生とはいえ、やる気とポテンシャルに満ち溢れた人と一緒に働く機会を持てます。スキルは社会人に劣っても、その分成長が期待できる。事業のフェーズによると思いますが、長期インターンの採用は、優れたソリューションだと思います。

いつか一緒に産業を盛り上げたい。インターン経験が花ひらく日を夢見て

—— これから長期インターン生に、どのような経験をしてほしいと考えていますか?


電力業界のアップデートについて解説をする村中さん

村中さん:事業を推進する経験はもちろん、エナーバンクでの長期インターンが、将来のキャリアに紐づいてくれたら嬉しいと思っています。というのも、私自身、学生時代の経験が今につながっていることを強く感じるからです。

私は新卒でソフトバンクに入社していますが、もともとは電力会社に入社し、原子力に関する事業を手がけたいと思っていました。原子力は日本を代表するテクノロジーで、世界でトップを取れる領域だと信じていたからです。

しかし就職活動を控えた矢先、東日本大震災が起きました。自分が描いていたキャリアを描けなくなってしまったんです。

ただ、それからもずっと、エネルギーに興味がありました。「原子力発電がストップした今、次のエネルギーインフラを誰かが作らなければ」と考えていたことが、起業につながっています。

—— 描いていたキャリアとは違っても、学生時代に考えていたことが、今につながっているんですね。

村中さん:おっしゃる通りです。なので、僕と同じように、今こうして学生さんと過ごした時間が、将来的に花が咲いてくれたら嬉しいです。

もしかすると、エナーバンク出身のインターン生が、エネテック(エネルギー×テクノロジー)市場にプレーヤーとして参入する可能性もあると思っています。まだまだイメージするのが難しい領域ですが、プレーヤーが増えて成長産業になったFinTechのように、今後大きな可能性を持っています。

弊社で学んだ経験が活きれば幸いですし、いつかこの領域を一緒に盛り上げていける仲間になってくれたら、それ以上に嬉しいことはない。そんな日を夢見て、一緒に頑張っていければと思っています。