学生時代に早期から就業経験を積み、将来のキャリア設計に役立てられる「長期インターンシップ」。実務を通して、自己の武器となるビジネススキルを身に付ける学生が年々増加しています。

長期インターン広がりの波は、学生のみならず企業側にも及んでいます。インターンを採用する目的も多様化し、「新卒採用につなげるため」や「業績拡大のため」など、企業の規模やフェーズによって様々です。

今回は、株式会社Parasolでインターン採用を担当されている木村和弘さんにお話をお伺いしました。木村さんによると、常時20名以上のインターン生が在籍しており、さらに1年以上継続している方がいるほどインターン生が定着しているそうです。

そんなインターン採用に成功しているParasol社の木村さんに、意欲の高い学生を採用する方法や、教育方針についてお話をお伺いしました。

マルチタスクをこなしながら30名以上採用。Infraは「成長意欲の高い学生」が集まるサービス


ーー まずは、自己紹介をお願いします。


写真右:株式会社Parasol 人事 木村和弘さん

木村和弘さん(以下、木村さん):人事担当として、インターン生の採用と入社後の育成を担当しております。ただ、メインの業務は新規メディアの立ち上げや運営です。

ーー 新規メディアの立ち上げをやりながら採用業務は大変ではないですか?

木村さん:Infraは応募がたくさん集まるので、そこまで大変だと感じることはないです。応募が少ない時は、求人広告の書き換えなど何かしらの工夫をしなければいけませんが、これまで利用していて採用ターゲットの変更以外でそうした作業が発生したことはありません。

できるだけ1日1回は管理画面を開くようにしているので、操作方法もかなり慣れてきました。

ーー ありがとうございます。ちなみに、御社は以前他社サービスもご利用されていましたが、違いはありましたか?

木村さん:「応募者の層」に違いを感じます。以前利用していたサービスは、職務理解度が高い方や将来の目標が明確に決まっている方が多く、それ自体マイナスに感じたことはありません。対して、Infraには「とにかく成長したい」や「やりたいことを見つけたい」といった意欲の学生が多い印象を受けました。

弊社の採用方針として「素直さがあり、ゼロベースで吸収していける方」を求めており、その点でInfraの方がマッチしやすいと感じています。

マッチングアプリからヒントを得た、Parasol流・スカウト運用方法


ーー Infraでは、どのプランでも毎月スカウトメッセージを送ることができます。求める人材に効率的にアプローチできるので、ご利用いただく企業様が多いのですが、そのなかでも御社は「返信率30%」と効果が高いです。そこで、どのように運用されているかお伺いできますでしょうか?

木村さん:まず、学生プロフィールを検索する際、弊社では「最終ログイン日」を重視しています。


スカウトの検索結果画面

1時間以内にログインした学生は、登録者の中でインターンに対するモチベーションが1番強いと思うんです。そういった“ホットな層”に対してスカウトメッセージを送るようにしているので、高い返信率に繋がっているのかもしれません。

ーー たしかに、学生側もログインしてすぐに企業からメッセージが届いたら興味をもってくれそうですね。

木村さん:そうですね。弊社では、マッチングアプリを中心とした情報発信メディア「マッチアップ」を運営しているのですが、マッチングアプリとスカウト機能は似ているかなと思います。

マッチングアプリで、最終ログインから1日以上経過した人にいくらアプローチをしても、反応はほとんどありません。しかし、リアルタイムでログインしている人や1日以内にログインした人にアプローチをすれば、反応してくれる数が増え、その後のマッチング率も上がりやすいんです。

インターンのスカウトも同様に考えているので、基本的には最終ログイン日が近い人からスカウトメッセージを送るようにしています。

ーー マッチングアプリに詳しい御社ならではの工夫ですね。ちなみに、スカウトの文章を作成する際にも意識している点はあるのでしょうか?

木村さん:まず、冒頭ではメディア掲載の実績やニュースを記載し、学生の関心を引き出すようにしています。続いて、業務内容を説明する際に「メディア運営」や「SNSマーケ」など学生に人気のあるワードを使うことが多いです。最後に、大手企業との取引実績やリモート勤務に対応していることなど、学生にとっての安心材料を盛り込むことを意識していますね。

また、弊社ではライターを募集しているのですが、やる気や実力次第でマーケティングや新規事業に携わることもできます。ですので、「ライターやりませんか?」という文言ではなく、「やりたいこと見つけませんか?」という文言にすることでInfraの学生層とマッチしやすいようにしています。


“刺激を与えてくれるから、伸びる。”マッチする人材を迎え、事業に勢いを。




ーー ここまで、優秀な人材を採用するための様々なハウツーを教えていただきました。長期インターンに対してここまでこだわっていらっしゃる御社に、最後は受け入れ時の工夫もお伺いできたらと思います。

木村さん:入社1ヶ月の間に「本人のやる気をきちんと確認すること」を意識しています。

弊社は成果主義の会社で、給与も本人のアウトプットに応じて支給されるので、モチベーションが保てない方は続きません。面接や初回オリエンテーションでもそのことをきちんと伝え、本人のやる気を確かめるようにしています。

また、入社後は数時間研修を受けてもらい、その後はとにかく手を動かしてもらう流れです。新人を放置しているように思えるかもしれませんが、業務を覚えるまでは一定の量をこなす必要がありますし、与えられたタスクをきちんとこなすことができるのかを見極めるのに、会社にとっても本人とっても大事な期間だと考えています。

結果的に、最初の1ヶ月間を乗り越えられる、つまり意欲の高い学生だけが定着してくれるんです。そのような意欲的な学生には、弊社としてもできる限りのサポートをしています。

ーー なるほど。御社はリモート勤務も導入しているとお聞きしたのですが、苦労する点はありませんか?

木村さん:弊社はコロナ禍の影響を受ける前からリモート勤務を導入しており、仕組みが整っているのでやり辛さはないですね。特に「質問しやすい環境」が保てるように工夫はしています。

社内のコミュニケーションにはチャットツールを使用するのですが、質問をする際は個別チャットではなく必ず全体チャットで行うようにしています。そうすることで、入ったばかりのインターン生も「気軽に質問していい環境なんだ」と安心してくれるんです。

また、インターン生との1on1にも時間を割いています。1時間じっくり話す場にしていて、日々の業務の悩みだけではなくキャリアの相談にも乗っているので、インターンに参加している間の「目標」が常にはっきりするんですよね。この効果があってか、長い人で1年や2年以上インターンを続けてくれている子もいます。

ーー リモートでも、チャットや上司との1on1を通じてコミュニケーションを取ることが重要なんですね。

木村さん:そうですね。あとは、「刺激を受ける機会」を意識的に用意してあげるのも非常に重要だと思います。

弊社の代表は、有名人や起業家の方など、普段の学生生活ではなかなか出会えないような人をオフィスに連れてきてくれるんです。

そのような業界で長く経験を積んでいる方や、大きな実績を残した方が目の前で話をしてくれると、「この人みたいになりたい」「もっと頑張りたい」と鼓舞されますし、今までの人生で知り得なかった新しい価値観に出会うこともあるんですよね。

「Parasolで働いていればまだまだ成長していける」と思ってもらえるような機会を提供できたらと、雇用する側として常に考えています。

ーー ありがとうございます。では、御社は意欲の高いインターン生を採用することができていますが、今後の目標はありますでしょうか?

木村さん:引き続き優秀なインターン生を採用していきたいと考えていますが、もしお互いにマッチしたら新卒社員として入社してくれたら嬉しいなと思います。

実は、弊社で2年以上インターンをしてくれている学生がいるのですが、創業以来初の新卒社員として入社してくれることになったんです。これがきっかけで、一般的なフローで新卒社員を採用するよりも、インターン経由で入社してくれた方がお互いにとっていいなと思いました。

一般的な新卒の選考フローだと複数回の面接のみで合否を決めるかと思いますが、企業側としては本人がどれほどのバリューを発揮できるか分かりません。学生側も、社内の雰囲気や業務内容をイメージしづらいはずです。

その点で、長期インターンの場合は一定期間一緒に働いているので、お互いの相性をじっくり見極められるのが魅力的だなと感じました。なので、今後はインターン経由の社員を増やし、事業成長に更なるドライブをかけていきたいと思います。