より学生の価値や可能性を広げられればと思いこちらの記事を記載させて頂いております。

よく学生から、自分は将来何がしたいか分からない。
とりあえず皆が東京で就職しているから東京で働こうなどそういった方もいらっしゃると思います。

そんな中で、東京以外で働いている人はどんな仕事をしているのか?

今の選択肢に+1ができるように地方などで働いている人はどんな方なのか福島の発展を担う「福島イノベーション・コースト構想」と連携し、記事を掲載させていただきます。


川内村の食材に注目し、学生起業家に。
「何もないからこそ、チャンスがある」


大島 草太さん


大島草太。福島大学4年の23歳。栃木県宇都宮市出身、福島県田村市在住。食べること、飲むこと、旅をすることが大好き。大学の授業をきっかけに川内村と出会い、その魅力を発信するため、川内村そば粉ワッフル屋 Kokage Kitchen を2019年春オープン。卒業後はこの事業を展開していくと共に、地域おこし協力隊として田村市都路町のクラフトビール会社「株式会社ホップジャパン」に関わることで、川内村や田村市が位置する阿武隈山系全体の地方創生を担う。


福島で働き、その可能性を明るく示してくれる「地元の星」。そのひとりとして今回クローズアップするのは、福島大学4年生の大島草太さんだ。県外の出身ながら福島県川内村の人と暮らしに魅せられ、食を通して村の魅力を発信しようと、特産品を使ったワッフル店を起業。数多くのイベントに出店している。大学での専攻は教育学。経済も製菓も素人だったという大島さんが、起業に挑んだ理由とは?


栃木県・宇都宮大学近くの「喫茶バニャバニャテレマカシ」。その一画から、甘く香ばしい香りが漂ってきた。焼き上がったばかりのワッフル。かじると、サクサクとした歯触りとやさしい甘さが口中に広がる。


「生地にも福島県川内村のそば粉を使っています」


説明しているのは、Kokage Kitchen代表の大島草太さんだ。人懐こい笑顔の解説に、買い求める人から「川内村ってどこ?」「そば粉の産地なの?」の質問が次々に飛び出していた。


Kokage Kitchenは、店舗を持たずイベント出店の形式で営業するワッフル店だ。開業は2019年3月。以降、約8カ月間で、県内外の22のイベント会場で「川内村そば粉ワッフル」を販売している。


実は代表の大島さんは、福島大学人間発達文化学類4年生という顔も持つ。学生起業家というと、問題意識や専門知識を両手いっぱいに抱えたパワフルな人をイメージしがちだが、大島さんは違うようだ。「経営を勉強したわけでもないし、リーダーになるタイプでもない。起業なんて僕自身が驚いています」と穏やかに話す。



生地に川内村特産品のそば粉を使った、そば粉ワッフル。
「ザクザクした食感は、そばの実ならでは。ナツハゼジャムの酸味がよく合います」


出合いは大学の授業、世界に出て川内の魅力を再認識


川内村は、浜通りのほぼ真ん中の双葉郡にある山間の小さな村だ。東日本大震災で一時期は全村民が避難したが、2016年に避難指示が解除され、2018年末現在は約2,500人が村内で生活している。


大島さんは、栃木県宇都宮市の出身。小学校や特別支援学校などの教員を志し、いずれの教員免許も取得できる福島大学に進んで、初めて「福島」に縁ができたという。


川内村との出合いは、大学1年で履修した「むらの大学」という授業がきっかけだ。被災地に学生が滞在して課題を抽出し、地域の人と一緒に解決に取り組むことで、地域を活性化しようというプログラムだった。大島さんたちのグループは、生地に特産品のそば粉を混ぜた「川内ピザ」の販売を考案した。


「村内のイベントや福島大学の学祭で売ったところ大好評で、翌年も続けたものの、3年生に上がるとメンバーが忙しくなり、プロジェクトは打ち切られてしまいました」


大島さん自身も、大学を1年間休学し、ワーキングホリデーの制度を使ってカナダに渡った。再度、川内村と関わるようになったのは、休学を経て3年生として復学した夏のこと。人の話を聞くことが大好きだという大島さんは、カナダに行く前も暇を見つけては世界を一人旅し、また帰国後もバイクで日本一周をして、様々な土地の人とのふれあいを楽しんでいた。そんな中で、川内村を思い出したのだそうだ。


「改めて、川内村は魅力的だなと思いました。それで川内村に遊びに行くようになったんです」


ただおしゃべりするためだけに、ほぼ毎週末、福島市の自宅からバイクを飛ばした。



前を向いて暮らしを楽しむ気風に関わり続けることを決意


川内村の魅力とは、どんなところだろう。


「まず、全村避難を経験したからかもしれませんが、村の人が本当に里山暮らしを楽しんでいる。ツリーハウスづくりに挑戦しているおじいちゃんもいたり、皆さん、前を向いているんです。もちろん、おいしいものもいっぱいあります。それに何より、人がいい。ほかの地域はよく分かりませんが、川内村や田村市などの阿武隈エリアの人は、外から来た人に対して寛容です。実は、僕がカナダにいたとき感じたことなのですが、カナダの人は、役職や立場、年収などのフィルターをかけずに、『僕』という個人を見るんです。すごくいいなと思った。こうしたところが、川内村の人にも通じるのだと思います。よそ者だとか、何をしている人だとかに関係なく、一緒に楽しもうとしてくれます。僕は川内村を知るまで、無意識のうちに、被災地の人はうつむいている、外の人に心を開かないのかも、と思っていました。結局、先入観にとらわれていたのは、僕のほうだったんですね」


村の人々のアドバイスを受け開業。がんばる姿に家族も応援するように


次第に、村の役に立つことをしながら、ここで暮らしたいと思うようになったそうだ。


「役に立ちたいといっても、ボランティアでは継続性がない。何か自分と村にお金が落ちるような仕組みを作ることができないか。そう考えて、ワッフル店を思い立ちました。ワッフルなら若い人も好きだし、そば粉を生地に使える。村外で販売すれば川内村を知ってもらうことができる」


さっそく事業計画を作り、村内で事業をしている主だった人たちに見せると、面白がってはくれるものの、厳しい意見と指摘も寄せられたそうだ。この数字はどうなっている、こんなPRでは村に人は来ない……。


「たしかに、経費は材料の原価だけで計算していたし、PRもワッフルのおいしさを訴えるだけで、集客にまではつながりにくいものでした。まったくの素人だったので、指摘してもらって、すごく勉強になりました」


試行錯誤の末に、事業を継続できるだけの収益が上がる計画が固まった。ワッフル作りは、同じ福島大学に在学中の妹(大島のはらさん)と試作を続けた末に、自信作が完成。大学4年に進学するタイミングで、晴れて開業にこぎつけた。


ところで、両親は大島さんの取り組みを、どう思っているのだろう。


「父は全面的に協力してくれています。やりたいものが見つかったなら追うべきだと。母は当初は反対していましたが、最近ようやく応援してくれるようになりました。僕が本気なのだと分かってくれたみたいです。僕は、一度始めたらのめり込む性格なんです。そう分かっているから、多分、半ば諦めてもいたんだと思います(笑)」


「でも」はナシ。5年先を見て、前進


2019年秋には、ワッフルのほかにパニーニが商品に加わった。今後も商品を拡充するという。


新商品の「イワナのパニーニ」。生地にはもちろん、川内村のそば粉をふんだんに。
イワナの燻製や5種類のきのこをトッピング。レシピは、レストラン「なか田」の中田智之シェフが考案


では、店が軌道に乗った先の将来像を、大島さんはどう描いているのだろう。そう尋ねると、「今は3年から5年後しか考えていない」と話す。


「僕のような活動は、ひとりの人との出会いでまったく違う方向に進みます。例えば2019年秋から川内村に隣接する田村市で地域おこし協力隊隊員としての仕事もしています。それは田村市でクラフトビールを柱に6次産業を興そうとしている方が、僕の活動を知って声をかけてくれたことがきっかけ。今は数年先を見て、できることを一生懸命にすればいいと思っています」


むしろ、遠い未来を心配しすぎて立ち止まるのはもったいないと、大島さんは続ける。


「就職している友人から、『職場が面白くない』『自分もカフェをやってみたかった』といった言葉を聞くことがよくあるんです。じゃあ、今からカフェをやればいいんじゃないかと話すと、『でも親が』『お金が』と『でも』を繰り返す。僕もお金はなかったし、最初から両親揃って賛成してくれたわけではない。同じです。せっかくやりたいことがあって、今の生活に行き詰まりを感じているなら、挑戦して結果を示していけばいいんじゃないかと思うんです」


ここ福島には、挑戦する余地がたくさんある?


「いっぱいありますよ。特にこの阿武隈エリアは、まだ何もない状態です。例えば川内村なら、伝統的な炭焼き産業が廃れているし、高齢化が進み農業や林業の後継者がいない。その分、やることがいっぱいあるんです」


「被災地にはチャンスがない」「コネや専門性がなければ起業は無理」。そう思っている人は多いが、これも一種のフィルターと考えられるだろう。


大島さんの強さは、先入観を排して社会をポジティブに捉えるその力。そして、その根底にある、人を信じ、人との出会いがもたらす可能性を信じる力、つまり「人を好きでいる力」なのかもしれない。


大島さんは今、キッチンカーの購入を目指してクラウドファンディングで資金を募っている。購入が叶ったらキッチンカーにビールタップを取り付け、田村市のクラフトビールも販売する予定だ。


「農家の方も連れて行って、クルマの前で直売会をしてもらってもいいと思います。いずれは村内に店舗も作りたい」


夢を語る大島さんは、実に楽しそうだ。

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