高齢化社会の今、人々の介護・福祉業界への注目度は高まっています。
一方で、介護・福祉業界の人手不足が深刻化していることや、介護職員の待遇の悪さが懸念されています。
今回は、介護・福祉業界の業界研究をしていきます。
介護・福祉業界の仕組みや特徴、現状の課題や今後の動向予測について学びましょう。

1.介護・福祉業界とは?

介護・福祉業界とは、いつ、何の為に作られた業界なのでしょうか。
また、介護・福祉業界の規模についても気になるところです。
以下より、介護・福祉業界の成り立ちや仕組みについてお伝えしていきます。

1.1 高齢化社会の救世主

高齢者が急増する現代日本では、介護・福祉業界はなくてはならない存在です。
介護・福祉業界では、高齢者の生活をサポートを主に行っています。
高齢者でも、自力で身の回りのことが出来る人ならば介護は必要ありません。
しかし、なかには、手洗いに行くことも入浴することもままならない高齢者がいます。
そうした高齢者の面倒を見る為に出来たのが、介護・福祉業界なのです。

1.2 介護・福祉業界の起源

国の正式なサービスとして高齢者の介護をする方針を固めたのは、1960年代からです。
「介護」という言葉が人々の間で浸透したのは、1970年代後半からです。
きっかけとなったのは、日常生活を自力で送ることが難しい障害者の為の運動です。
この頃はまだ、「介護」と呼べるほどのサービス力には至っていなかったそうです。

1.3 介護・福祉業界のサービス対象は児童も含まれる

介護・福祉業界では、高齢者や障害者に加え、児童保育もしています。
世の中には、シングルマザーや共働きの人が沢山います。
両親の不在時に安心して子供を預けられる施設もまた、介護・福祉業界に含まれます。
保育園や孤児院なども、国が提供している施設であることがほとんどです。

2.介護・福祉業界の特徴



介護・福祉業界にはどのような仕事があり、どのような職場なのでしょうか。
以下より、介護・福祉業界の特徴についてお伝えしていきます。

2.1 介護・福祉施設のロゴデザインは「人」がモチーフ

介護・福祉施設のロゴデザインは「人」をモチーフにしていることが多いです。
その理由は、介護の仕事内容にあります。
介護の仕事は、人が人を支えることで成り立っています。
高齢者や障害者など身体が思うように動かない人を他者が支えることにより、日常生活が送れるまでになるのです。
そうした観点から、各施設のロゴデザインには人間同士の関係性をアピールするものが多いのでしょう。

2.2 介護・福祉施設のシフトは特殊

介護・福祉施設で働いた経験がある人はご存知でしょう。
施設にもよりますが、介護・福祉施設のシフトの組み方は他の業界とは違います。
介護・福祉施設のシフトは、早番・日勤・遅番・夜勤に分かれています。
4交替制で働く人を入れ替え、負担を分散させる就業方針をとっているのです。

2.3 施設にもいくつかの種類がある

介護・福祉施設には、国が運営する公共の介護保険施設と民間が運営する施設があります。
受け入れ体制についても施設によって異なります。
自力で日常生活の大半をこなせる人、少しのサポートが必要な人、自力では動けない人ごとに施設が分かれているのです。
また、住宅型老人ホームもあれば、グループホームもあります。
高齢者が1人で暮らせる住宅型老人ホームの方が、支払う費用は高額になります。

3.現状の課題

介護・福祉業界が抱える問題について知っていますか?
現状の課題を把握することで、今後、介護・福祉業界に求められる力も理解出来ます。
以下より、介護・福祉業界の現状の課題についてお伝えしていきます。

3.1 人材不足

高齢化社会が進む一方で、介護職員の手が足りていません。
介護・福祉業界は、深刻な人材不足に悩まされています。
高齢化だけでなく少子化も進んでいる為、将来的な人材不足はより深刻化するでしょう。
介護職員を募る介護・福祉関連の求人数は多数掲載されています。
ですが、求人に対する応募者数は、施設によっては1人もいないことも珍しくありません。

3.2 給料が安い

介護職員に対する待遇の悪さは介護・福祉業界においてかなり大きな問題です。
厚生労働省が発表した『平成28年度介護従事者処遇状況等調査結果』によれば、介護職員の月給は30万円もありません。
同じく激務の医者などから比べても、待遇の悪さは一目瞭然です。
待遇の悪さにより、人材離れが進行してしまうのではないかと懸念されています。

3.3 心身的負担が大きい

上記でお伝えしたように、介護・福祉業界では人材が足りていません。
その為、既存の介護職員だけで激務をこなしていることになります。
ですが、人材不足のなか、ずっと激務をこなすことは心身的にかなり負担がかかります。
介護職員の中には、過労で倒れてしまう人がいます。
あるいは、精神的に病んで長期療養を要する職員もいます。
こうした心身的負担への対策を早期に講じることが求められています。

4.介護・福祉業界の今後

数多くの課題を抱える介護・福祉業界は、今後どうなっていくのでしょうか。
以下より、介護・福祉業界の今後の見通しについてお伝えしていきます。

4.1 外国人の介護職員の雇用

今までは、日本の介護・福祉業界では、日本人の介護職員のみを雇用していました。
しかし、今後は、外国人の介護職員も雇用する人材として含める方針です。
これは、訪日外国人によって日本経済を復興させる考え方に影響を受けています。
国籍や性別を問わず、諸外国の人材からも支援を受けることで介護・福祉業界を立て直す考え方です。

4.2 介護職員の月給底上げ

月給30万にも満たない安月給では、介護職員は働く気概をもてません。
そこで、2017年には第1回目の介護職員の月給見直しが行われました。
結果として、1万円ほど月給が底上げされています。
2018年にも、さらに月給アップを目指すべく論議が重ねられているところです。
加えて、介護職員のブラック企業を減らす為の政策も同時進行で行われています。
安月給で働く介護職員のなかには、ブラック企業に勤めている人もいます。
政府は、介護・福祉施設の運営団体を自治体メインにしていくことを決めたのです。
その為、民間の事業者が提供する簡易介護・福祉サービスへの利益率は下がります。

4.3 未経験の新卒採用に積極的

介護・福祉業界では、未経験の新卒採用に積極的です。
国が介護職員の待遇を見直している間にも、各介護施設では求人を募っています。
外国人の介護職員の雇用も、重要な人材確保の手段です。
しかし、まだ日本語を習得しきれていない在日外国人も多くいます。
そうなると、日本人の介護職員を1人でも多く採用した方が人材を確保しやすいのです。
2018年度の新卒採用の採用基準も緩和され、未経験者が参入しやすくなる見込みです。
介護・福祉業界に入る為には、特別な資格がいらない場合もあります。
それでいて、実務経験を積めば専門資格を受けるチャンスを手に出来ます。
よって、キャリアアップには最適な点をアピールしつつ、介護・福祉業界の新卒採用が活発化していく予定です。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、介護・福祉業界の業界研究をしてきました。
人材不足、介護職員の待遇の悪さが目立つなか、介護・福祉業界は変わりつつあります。
人材確保や介護職員の待遇の見直しに対して前向きな取り組みが進められています。
介護・福祉業界に興味のある人も、今ならば就職しやすいのではないでしょうか。
希望する会社に入社した際には、介護・福祉業界が抱える課題の解決方法を考えましょう。