1.集英社の事業内容

 集英社は、出版事業を展開しています。近年は電子書籍の普及や娯楽コンテンツの多様化などによって出版事業は逆風にさらされています。

そのため、小規模な出版社の中には倒産するところも少なくありません。しかし、集英社は大手出版社として人気の漫画雑誌の提供を続けるなど、比較的体力のある出版社です。

漫画部門のイメージが強いかもしれませんが、実際には幅広い出版物を世に送り出しています。では、どのような事業を展開しているのかをより具体的に見ていきましょう。



 出版事業の中でも漫画部門が集英社の主力部門となっています。

特に、人気の漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」が集英社の漫画部門を代表する出版物です。

男性を中心に、ジャンプを毎週楽しみにしていた人や、今でも毎号購入しているという人がいるのではないでしょうか。


 ただ、近年では漫画の売上が雑誌、単行本ともに減少傾向にあります。そのため、集英社も漫画部門において売上高の減少に歯止めをかける必要があります。

電子書籍化をさらに進めて大人世代の漫画ファン、ジャンプファン層に電子書籍で集英社の漫画を読んでもらうことができれば収益を維持しやすいと考えられます

電子書籍化によって発行・販売にかかるコストを削減できるチャンスもあります。

 漫画部門の売上高を維持する上でも役立つ電子書籍事業にも、集英社はすでに取り組み始めています。電子書籍を発行することはもちろん、電子書籍を閲読する際に役立つPCやスマートフォン向けのサービスも提供しています。



 デジタル部門では、電子書籍のみならず画像や動画の提供も実施しています。デジタルコンテンツへの需要を取り込むことができれば、書籍の発行部数が減少しても集英社の売上高を維持しやすくなります。

スマートフォンの保有者が多い中で、魅力的なアプリなどを時代の変化に合わせて配信できるかが、集英社の今後を左右することとなりそうです

紙の書籍発行の減少を食い止めることが困難である以上、デジタル関連事業が将来的に集英社の主要事業となる可能性があります。



2.競合と比較した集英社の強み

 大手出版社には集英社のほか、小学館や講談社などがあります。市場の成長が見込みづらい中で事業を継続するためには、他社のシェアを奪う必要があります。そこで、競合と比較した際に集英社が持つ強みをチェックしてみましょう。


 集英社の強みとしてまず挙げられるのが、「週刊少年ジャンプ」の高い人気です。

人気の漫画雑誌を抱えていることで漫画ファンの需要に応えることができるほか、単行本の漫画売上にもつなげやすくなります。電子書籍としての配信も実施していることから、幅広い層に集英社との接点を持ってもらいやすいと言えます。


 また、漫画雑誌に限らず、娯楽部門では他社をしのぐケースが多いです。そもそも集英社は小学館の娯楽部門が独立する形で誕生した企業です。

そのため、娯楽部門に関しては同規模の競合他社よりも多くのニーズに応えやすいと考えられます。


 娯楽部門の独立からスタートしたと聞けば、他の出版物には弱いのではないかと考えてしまうかもしれません。

しかし、集英社は出版物の多角化を進めてきました。そのため、仮に漫画の売上が減少したとしても、他の出版物の売上によって業績の急落を食い止められるチャンスがあります。

また、複数ジャンルの出版物を発行していることで、ジャンルをまたいだ娯楽コンテンツの提供も可能です。

出版物への関心が低下する中で、読者を確保するために異なるジャンルの出版物を閲読した層を集英社が囲い込みやすくなっています。


 国内の漫画売上が減少していることを考えると、集英社の国内事業には逆風が吹いていると言えます。

しかし、海外にも目を向けると、漫画をはじめとする日本のポップカルチャーが大人気となっています。

訪日外国人観光客数の増加もあって海外から日本への関心は高いです。日本の娯楽を海外にも提供できれば、集英社が再び成長企業となるチャンスがあります。

アプリ等で漫画を配信できる時代になっていることから、紙媒体の出版物と比べて海外からの需要にも迅速に対応しやすくなっています。漫画部門に強みを持つ集英社は、日本文化への関心の高まりからも恩恵を受けられると言えるでしょう。


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3.どのような学生を求めているのか

 文学部の学生を中心に、出版業界に高い関心を持っている就活生が見られます。

また、近年では電子書籍の普及が進んできていることから、電子書籍関連の技術に関心を持つ理系の学生にも、出版業界への就職を検討している人がいると考えられます。

では、大手出版社の一角である集英社は、はたしてどのような学生を求めているのでしょうか。


 まず、トレンドに敏感な学生が求められます。

出版物の制作にあたって、従来は中長期的に支持される作品が多く求められてきました。

しかし、近年では電子データで出版物を閲読できることから、より短期間で消費されてしまう傾向があります。

したがって、短期のトレンドに合わせた出版物を企画・制作することが、読者のニーズを満たしやすくなっています。

世の中のトレンドを敏感に感じ取ることができれば、集英社に入社してブームを巻き起こす出版物の制作に貢献できる可能性が高いと言えます。


 また、自社の出版物をアピールする説得力やコミュニケーション力が高い学生の需要も高いでしょう。

電子出版物が増加してきているとはいえ、依然として集英社も紙媒体の書籍を多数発行しています。

そのため、自社製品を書店の目立つ場所に並べてもらい、販売部数を伸ばしたいところです。紙媒体の書籍を手に取る人が減少するにつれて、個性的な出版物が評価されやすくなっています。

大手出版社である集英社の出版物が埋没することのないよう、書店などに的確なアピールをする力が求められるでしょう。


 さらに、動画などのデジタルコンテンツに関心が高い学生も、集英社の将来を考えると必要とされる可能性が高いです。

デジタル部門では電子書籍だけでなく、画像や動画といったより幅広いコンテンツを提供していくことで収益を伸ばすチャンスがあります。

そのため、集英社を「書籍の出版社」としか見なしていない学生は、将来的に活躍の場が乏しくなる懸念があります

集英社に入社後、新たなデジタルコンテンツの開発など将来性の高い事業に積極的に貢献できる力をアピールできれば、集英社への就職活動に成功するチャンスが広がると言えそうです。


 加えて、海外に向けて日本の魅力的なコンテンツを発信するケースが増えることを考えると、グローバル人材になりうる学生の採用が増えてくることもあり得ます。

外国人とのコミュニケーション能力があれば好ましいですが、それ以上に外国人の興味・関心の対象などに精通していれば大きな戦力になることができます。

特に、日本のポップカルチャーへの関心が高いフランスなどヨーロッパ諸国や中国・韓国といったアジア諸国からのニーズについて把握できる力があれば、集英社の将来を支える存在として期待をかけてもらいやすくなると考えられます。



4.まとめ

 集英社は人気の漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」を抱える大手出版社の一角です。大手として高い知名度と大きな売上高を誇りますが、出版業界自体は縮小傾向です。

電子書籍やデジタルコンテンツの配信など、時代の変化に合わせた新事業を活用し、業績の維持・成長ができるかどうかが問われています。

就職先として集英社を検討しているなら、集英社が現在実施する事業だけでなく、将来的に展開される可能性がある事業についても高い関心を持っておくと良いでしょう。

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