野村総合研究所は日本最大手のシンクタンクですが、コンサルティング業界、SI業界を目指す学生にとっても人気の企業です。仕事は一般的に大変だと言われていますが、それでも平均年収は1000万を超えており、上場企業の中でも有数の高待遇の企業だと言えます。ここではそのような野村総合研究所について職種や業務内容を中心にお伝えします。

シンクタンクではどのようなことをするの?

野村総合研究所は国内でも最大手のシンクタンクだと言われています。シンクタンクは直訳すると「頭脳集団」と言う事により、様々な専門家達が調査や研究を行って政策提言を行う研究機関の事を指します。

つまり、大学のように公的資金が入っている研究機関とは違い、民間資本で運営されている研究機関と言えます。ただし、民間の研究機関と言っても、仕事の領域には公的な調査などもあり、例えば東京オリンピックを開催する事によってどの位の経済効果が発生するのか、地方自治体における交通実態調査など国や地方自治体が知りたいテーマについての調査を請け負う事も少なくありません。

日本においては野村総合研究所だけではなく、三菱総合研究所、日本総研など様々なシンクタンクが存在していて、政策の立案や景気動向の分析などに関わっています。よくシンクタンク事業と間違われやすいのがコンサルティング事業です。シンクタンク事業は政策などに関わる調査分析が主要な業務であり、コンサルティングは問題解決が主要な業務となります。片方の業務しか行っていない会社も数多く存在しますが、野村総合研究所ではシンクタンク事業と、コンサルティング事業の両方を行っています。

野村総合研究所の事業内容

このように「総合研究所」という名前がついているために、野村総合研究所=シンクタンクという風に思われがちですが、売上におけるシンクタンク/コンサルティング事業の割合は実は1割程度で、売上の多くは情報システムの設計・開発・運用を行うSI事業によって作られています。

野村総合研究所は日本初の民間シンクタンクである野村総合研究所と日本で初めての商用コンピュータを用いたシステム開発会社である野村コンピューターシステムが1988年に合併して作られた会社なので、コンサルティング事業(シンクタンク事業を含む)とITサービス事業が野村総合研究所の二大事業となっているのです。

コンサルティング事業では様々なリサーチやそれに基づく政策立案、企業の戦略策定や業務改革などに関するマネジメントコンサルティングを企業だけではなく、政府や官公庁から委託された調査や政策提言も行っています。また、それだけではなく、ITサービス事業を行っている強みを生かしても、企業や官公庁にたいしてシステム導入による業務改革コンサルティングや、ITガバナンスの確立などの企業のIT導入に関するシステムコンサルティングも行っています。

ITサービス事業ではコンサルティングに留まらず、具体的なシステムの開発、導入、運営の支援などを行っています。流通小売、製造業、不動産業、通信業、金融業など多種多様な業界のシステム開発を行っており、自社でも企業向けの様々なITシステムの開発を行っています。

野村総合研究所のインターンシップ

このように、コンサルティング、ITサービスの両方を展開している野村総合研究所ではインターンシップを開催しているので、コンサルティング、ITサービスに興味のある人は参加してみてもよいでしょう。

コースは経営コンサルティングコースとITソリューションコースに分かれて別々に募集されています。
経営コンサルティングコースは5日間のインターン生によるグループワークでクライアント企業の分析から戦略立案までコンサルタントが現場で行う業務を、実際に働いているコンサルタントがディスカッションに加わりながら体験します。ITソリューションコースは1日間のインターンシップで、業界や説明、グループワーク、社員との座談会などを行う事になっています。

2016年度の情報によれば、インターン参加者は他の選考参加者よりも早く選考に進むことができて、実際の内定者の中にもインターン参加者は多いようです。野村総合研究所の志望度合いが強い人はぜひともインターンに参加した方が良いでしょう。ただし、インターンは誰でも参加できるのではなく、エントリーシートを提出してテストを受けて面接を突破した人だけがインターンへの参加権が与えられる事に注意してください。

内定を勝ち取る難易度はどれくらい?

野村総合研究所の内定を勝ち取る事はかなり難しいと言えます。

まずコンサルティング業界自体が一般的に就職する事が難しい業界でありますし、ボストンコンサルティングやマッキンゼーなどの外資の超難関コンサルティング会社と比較すると簡単ですが、日系のコンサルティング会社としては最上位の難易度だと言えます。

また、SIerとして野村総合研究所を考えても国内でトップクラスの難易度となっています。野村総合研究所の平均年収は1000万円を超えており、SIerの中では断トツとなっています。このような待遇の良さからSIerの中でも人気の企業の一つでありSI業界でも難易度が高い会社だと言えます。

更に、野村総合研究所はシンクタンクとしても最大手です。基本的にシンクタンクの職員として採用されるためには政策の立案などに関連する様な分野の研究業績が必要となるので大学院以上の学歴での採用が一般的になりますし、野村総合研究所は人気のシンクタンクなので狭き門だと言えます。

このように、コンサルティング会社、SIer、シンクタンクという3つの頭脳労働がベースの各業界のトップクラスの学生が野村総合研究所に集まるので就職難易度は極めて高いと言えます。

企業が求める人材像を知ろう

このように就職何度が非常に高い野村総合研究所ですがどのような人材を求めているのでしょうか。野村総合研究所の採用募集において、求める人物像・選考基準は以下の3つだとされています。

・プロフェッショナル志向を持つ
・組織プレー、チームワークが可能である
・幅広い分野への興味とバランス感覚を有する

このような事から読み取れる事は、野村総合研究所はプロフェッショナルとして意識をしっかり持った人物を採用したいと考えている事がわかります。例えばコンサルティング業の場合、他人の指示をそのままこなしていれば仕事が終わるという事はありません。クライアントが困っている原因を考え抜いてその解決策を導き出す主体性と結果に対する責任感が求められますし、個人として何らかの専門知識を有して全体に貢献する必要があります。また、個人だけで仕事は解決せず自社のコンサルティングチームはもちろんの事、クライアントを巻き込んでプロジェクトを進めていくためにチームワークも非常に重要です。

このような事はどこの業界でも活躍しようと思えば普遍的に求められる事ですが、実際にプロフェッショナルとして仕事ができる人材は少なく、選考ではそのようなプロフェッショナルとしてのスタンスで働けるか否かが見られていると考えられます。

まとめ

以上のように野村総合研究所について説明してきました。野村総合研究所は待遇も良く、就職活動でも人気の企業の一つなので志望している学生は多いかもしれません。ただし、シンクタンク、コンサルティング、SI各業界からトップクラスの人材が集まるので就職難易度は非常に高いです。最低限の学歴がある前提で、企業分析をきちんと行い面接対策をしたり、インターンシップに参加したり、研究業績をきちんと在学中に残したりと様々な準備を行った上で採用試験に臨む必要があります。